2011/8/3

チェコ・スロバキア

チェコ電力大手CEZ、独褐炭会社の持ち株を放出

この記事の要約

チェコの国営電力会社CEZは7月28日、国内同業EPHにドイツの褐炭会社MIBRAGの株式50%を売却すると発表した。EPHは大口株主であるJ&Tを通して残りの50%を保有しており、MIBRAGを完全に傘下に置 […]

チェコの国営電力会社CEZは7月28日、国内同業EPHにドイツの褐炭会社MIBRAGの株式50%を売却すると発表した。EPHは大口株主であるJ&Tを通して残りの50%を保有しており、MIBRAGを完全に傘下に置くことになる。CEZは黒字経営のMIBRAGを手放す理由について、ドイツのエネルギー市場の先行きが不透明になったためと説明。ドイツは福島原発事故を受け、2022年までに国内原発を全廃することを決定したが、原発の代替として、石炭・褐炭ではなく再生可能エネルギーと天然ガスの利用を拡大する方針を掲げている。

\

CEZは今回の取引で、MIBRAG株を売却する代わりに、EPHが筆頭株主を務めるプラハの地熱供給会社PTから、同市近郊でコジェネ(熱電併給)発電所を運転しているエネルゴトランスを買収する。チェコの熱供給事業は政府の規制対象であるため、同社買収で低リスクと安定した収益が期待できるという。

\

一方、EPHは今回の取引で、MIBRAGの炭鉱近くに新火力発電所の建設というCEZの計画も引き継ぐ。当初は、ボヘミア地方東部にあるCEZのフバレティツェ発電所を買収する予定だったが、CEZが自社のどの採炭地からも遠い同発電所に長期にわたって石炭を供給する条件に難色を示したため、今回の対案に落ち着いたもようだ。

\

CEZは2009年、J&Tと共に総額4億400万ユーロでMIBRAGを買収した。MIBRAGは旧東ドイツの2カ所で褐炭を採掘し、2発電所を運営しており、昨年の税引き前利益は6,630万ユーロだった。

\