2011/8/24

総合・マクロ

中東欧経済が減速、ユーロ危機が響く

この記事の要約

中東欧経済が減速する傾向にある。経済をけん引する輸出の勢いが鈍っているのが主因だ。\ これまでに発表された各国の国内総生産(GDP)統計値によると、チェコとハンガリーは2010年1-3月期に成長に転じて以来、初めて伸び率 […]

中東欧経済が減速する傾向にある。経済をけん引する輸出の勢いが鈍っているのが主因だ。

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これまでに発表された各国の国内総生産(GDP)統計値によると、チェコとハンガリーは2010年1-3月期に成長に転じて以来、初めて伸び率が縮小した。スロバキアも最低の上げ幅となった。

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今年1-3月期に2年ぶりのプラス成長となったルーマニアでもその勢いが鈍っている。今月30日に公式データが発表されるポーランドでも減速が予測される。

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前年同期比の伸び率を各国別でみると、チェコが2.4%で前期から0.4ポイント低下した。ハンガリーは1ポイント減の1.5%、スロバキアは0.2ポイント減の3.3%。ルーマニアは0.3ポイント減の1.4%だった。ブルガリアは1.9%と、前期の3.4%を1.5ポイントも下回った。ブルームバーグ通信の予想によると、ポーランドは0.2ポイント減の4.4%に減速したもようだ。

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ロシアは0.7ポイント減の3.4%で、ブルームバーグ通信のアナリスト予想中央値の4%を大きく割り込んだ。

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■ユーロ危機が打撃に

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ユーロ危機の先鋭化や米国格付け会社による格付け見直しで世界経済の減速懸念が増大する中、中東欧諸国はアジア新興国に比べて、外部の不安要因による影響が強いとみられている。

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英調査会社のキャピタルエコノミクスはその理由として、◇ユーロ圏への輸出に経済が依存◇支出を賄い対外債務を履行するために国外からの資金供給が必要◇財政赤字が大きく、景気を刺激する手段が限られる――を挙げる。

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ロシアは世界経済の減速で資源価格が低下し、景気が縮小する可能性が強い。ゴールドマンサックス証券は10日付のリポートで、現行のGDP成長率予測(5.4%)はウラル原油価格を1バレル122.3米ドルに設定しており、これが80米ドルに下がれば成長率は2.5%にとどまると指摘している。

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■利下げ観測が強まる

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為替取引業者は先月まで利上げを予測していたが、ここにきて一転して利下げ観測を強めている。ポーランド、チェコ、ハンガリーで半年以内に金利が引き下げられるとの見方だ。

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バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチでは、今年後半のデータで中東欧経済の減速が明確になるとみる。スイスフラン建ての自動車・住宅ローンによる消費者の支出増加で内需が低迷すると同時に、輸出も縮小する見通しのためだ。

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直近の統計値をみると、チェコ、ハンガリー、ポーランド、ウクライナ、ロシア、ルーマニアのインフレ率は低下する傾向にあり、利上げ圧力は弱まっている。

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チェコ・スロバキア
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