2011/10/19

チェコ・スロバキア

テメリン原発拡張の入札手続き始まる

この記事の要約

チェコ国営電力会社CEZは11日の記者会見で、テメリン原子力発電所拡張プロジェクトの入札に参加する仏アレバ、東芝傘下の米ウエスチングハウス、ロシアのアトムストロイエクスポルトとチェコのシュコダJSによる企業連合(MIR. […]

チェコ国営電力会社CEZは11日の記者会見で、テメリン原子力発電所拡張プロジェクトの入札に参加する仏アレバ、東芝傘下の米ウエスチングハウス、ロシアのアトムストロイエクスポルトとチェコのシュコダJSによる企業連合(MIR. 1200)に、今月末までに応札のための諸資料を渡すことを明らかにした。2012年半ばに応札提案を締め切り、13年末をめどに発注先を最終決定する予定だ。現地オンラインニュース『Ceskapodice.cz』が報じた。

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テメリン原発拡張プロジェクトによる3、4号炉の建設発注額は推定2,000億コルナ。落札者はさらに3炉の建設オプションも取得する。CEZは当初、20年の稼働を目指して昨年10月に入札手続きを開始する計画だったが、スケジュールの遅れにより、3号炉は22年か23年、4号炉は24年の稼働となるもようだ。

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一方、チェコとスロバキアの両政府は、スロバキアのボフニチェの原子力発電所の合同建設計画を進めている。この目的で、CEZとスロバキア国営エネルギー会社JAVYSは、出資比率CEZ49%、JAVYS51%で合弁会社をすでに設立している。来年半ばまでに建設計画の予備調査(フィージビリティ・スタディ)の結果をまとめる予定だ。

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■入札競争、ロシア・チェコ企業連合がリード

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チェコ保安・情報庁(BIZ)の非公開の年次レポートを入手した関係者によると、テメリン原発の入札競争では、ロシアとチェコの企業連合(MIR. 1200)が一歩リードしているもようだ。また、落札意欲がさほど強くない仏アレバのチャンスはほとんどないという。同情報を入手したチェコのニュースサイト『aktualne.cz.』がこのほど報じた。

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同レポートによると、MIR. 1200が落札した場合、ロシア側は原発建設のノウハウを提供するほか、チェコのシュコダJSの参加比率を最大限に引き上げることを計画している。シュコダJSはロシア企業の傘下にあるが税金はチェコに払ううえ、原発プロジェクトへの参加は国内製造業界にもプラスとなる。ただ、技術上の安全問題が懸念材料だという。

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一方、状況挽回に向け、米ウエスチングハウスは今月末に訪米するチェコのネチャス首相を本社に招待した。チェコのコンサルティング企業ENAのJiri Gavor氏は、ウエスチングハウスやアレバが劣勢を覆すためには、技術移転や第3国でのプロジェクトでチェコ企業と協力することなどを約束する必要があると指摘している。

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また、チェコ政府から今回のプロジェクトを任されたエネルギー安全保障担当大使のVaclav Bartuska氏は、「シュコダJSは2004年にロシア企業に買収されて以来、ロシアから1件の受注も獲得していない」として、以前からロシア企業の落札に否定的な立場をとっている。(1CZK=4.21JPY)

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