2011/12/14

ロシア

富豪のプロホロフ氏が大統領選出馬を表明

この記事の要約

プーチン体制への抗議行動が高まるロシアで、富豪のミハイル・プロホロフ氏(46)が12日、来年3月の大統領選挙に出馬する意向を表明した。再選が確実視されるプーチン首相に挑戦することになるが、「すべて合法的に事を進めており、 […]

プーチン体制への抗議行動が高まるロシアで、富豪のミハイル・プロホロフ氏(46)が12日、来年3月の大統領選挙に出馬する意向を表明した。再選が確実視されるプーチン首相に挑戦することになるが、「すべて合法的に事を進めており、(政府による報復は)恐れていない」と述べた。プロホロフ氏は「中間層を代表する」としているが、具体的な方向性はまだ明らかでなく、同氏の出馬が反プーチン派の抗議をかわすための政治工作なのではと疑う声も出ている。

\

プロホロフ氏は1990年代の民営化にともない財力をつけた新興財閥の一人。投資会社「オネクシム」のオーナーで、主に金属、エネルギー、金融、メディア、ナノテクノロジー産業に投資する。傘下に金最大手のポリュス・ゴールドやニッケル最大手のノリリスク・ニッケルなどを収める。同氏の総資産は推定180億米ドル(127億ユーロ)で、米『フォーブス』誌の長者番付によるとロシアで3番目に裕福な人物だ。

\

今年6月、リベラル3党が合併して2008年に結成した「政治の事業」の党首に就任したが、9月に同党が「政府の傀儡(かいらい)」であるとして辞任した経緯がある。

\

ただ、反プーチンデモに関して「非効率的な国家機関」の舵取りができる政治家はプーチン首相しかいないとブログでコメントするなど、対決姿勢は弱い。大統領選挙に向けた運動でも「批判は10%にとどめ、残る90%は解決案の提示に務める」と穏健な立場だ。

\

政治アナリストによると、プロホロフ氏が当選する見込みはない。このため、「強力な野党や中間層代表政党を認めない」というリベラル派のプーチン首相への批判を、同氏の出馬承認で和らげようとする政府の策略と読む向きもある。政府がメディアを統制する同国で、出馬表明会見が午後6時のニュースのトップに取り上げられたことも、その根拠とされる。

\

多くの不正があったと疑われる下院選挙で与党「統一ロシア」がかろうじて過半数議席を獲得するなど、いずれにしてもプーチン体制が弱体化しているのは間違いない。プーチン首相の最側近といわれ、今年9月に更迭されたクドリン元財務相も自由民主主義勢力を結集する可能性を示唆しており、ロシアの政治から目が離せなくなってきた。

\
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |