2012/1/18

ロシア

富士通などがPC受注、大統領選ネット中継で

この記事の要約

今年3月のロシア大統領選挙で投票所の様子をネット中継する政府のプロジェクトで、中国のレノボ・グループ(聯想集団)と富士通がコンピューター(PC)の主要発注先に選ばれた。調達台数は10万台強。2001年第3四半期のロシア出 […]

今年3月のロシア大統領選挙で投票所の様子をネット中継する政府のプロジェクトで、中国のレノボ・グループ(聯想集団)と富士通がコンピューター(PC)の主要発注先に選ばれた。調達台数は10万台強。2001年第3四半期のロシア出荷台数の3%弱に当たる。先月の下院選挙の不正疑惑に対する国民の強い抗議が、情報通信(IT)メーカーに思わぬ商機をもたらした格好だ。

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マスーク副通信情報大臣が13日明らかにしたところによると、各投票所にPCを1台、カメラを2台設置する。特設委員会の試験の結果、最も安定して機能するモデルを選択した。当初、ノートブック型PCを採用する方向だったが、調達が難しいため、デスクトップ型に切り替えた。富士通は本体を2万5,000台、サムスン電子はディスプレイを同数納入する。カメラ発注先などこれ以外の詳細は明らかにしていない。レノボは中国と台湾から、富士通はドイツ工場から製品を出荷するという。

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プロジェクトの総額は260億ルーブル(8億3,800万米ドル)に及ぶ見通しで、連邦予算とプロジェクトを受注した通信企業ロステレコムが費用を折半する。PCの発注規模は未公表だが、連邦予算の4分の1に当たる32億5,000万ルーブルはPCの調達に充てられる。

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米国の情報通信業界調査会社ガートナーの北川アナリストによると、世界のPC出荷台数が昨年3億5,300万台だったことを考慮すると、今回のロシア政府の発注数は市場の行方を左右するほどの規模ではない。ただ、iPadなどマルチメディア端末需要に押されてPCの販売伸び率が0.5%まで縮小している中、マイナス成長を食い止める効果があるかもしれないという。

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マスーク副通信情報大臣によると、プロジェクトに使われるPCのディスク容量は合計540万ギガバイトで、米通信大手AT&Tの一日の平均通信量の2倍に当たる。生中継されるビデオの長さは合計247年にもなる。動画投稿サイト「ユーチューブ」に寄せられるビデオの一日の平均容量が4年であることを考えると、その規模が分かると話している。(東欧経済ニュース1月4日号「投票所のウェブカム中継に3.6億ユーロ~ロシア」を参照)(1RUB=2.43JPY)

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