2012/2/1

チェコ・スロバキア

チェコ、原子力エネルギーの固定価格買い取り制度を導入か

この記事の要約

チェコ電力最大手で国営のCEZが進めるテメリン原発拡張計画に関連して、同社と政府のプロジェクト監査委員は、英国型の固定価格買い取り制度の導入に積極的な立場を明らかにした。プロジェクトの採算性を確保する狙いで、欧州法上も問 […]

チェコ電力最大手で国営のCEZが進めるテメリン原発拡張計画に関連して、同社と政府のプロジェクト監査委員は、英国型の固定価格買い取り制度の導入に積極的な立場を明らかにした。プロジェクトの採算性を確保する狙いで、欧州法上も問題がないとみている。

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導入を目指すのは、差額精算型の長期固定価格買い取り制度(FIT-CFD)だ。発電事業者と買い取り事業者が固定価格で長期契約を結び、市場価格が固定価格を下回った場合は発電事業者が差額を受け取る。逆に上回った場合は発電事業者が差額を支払う。これにより、発電事業者の収入の安定を図り、発電所新設のリスクを減らす。

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テメリン原発拡張計画は、総額2,000億コルナ(80億ユーロ)を投じて新たに原子炉2基を設置するもの。1基は2023年、もう1基はその18カ月後に稼働する予定だ。

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コンサルティング会社キャンドール・パートナーズ(Candole Partners)が実施した事業性調査では、採算割れリスクが54%に上るとの結果が出ており、投資回収には何らかの政府支援が必要との見方が浮上していた。

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FIT-CFDは英国政府が打ち出した電力市場改革の柱の一つ。長期的な価格保証で民間企業による原発新設を促進する。二酸化炭素排出権の最低価格を保証する措置とあわせ、低炭素電源の導入を支援する目的だ。政府は今年5月に施行し、2014年以降のプロジェクトに適用する意向だ。

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テメリン原発の応札締め切りは7月2日で2013年末までに発注先を決める予定となっている。このため、FIT-CFD採用には迅速な対応が必要だ。(東欧経済ニュース1月25日号「テメリン原発拡張の経済性に疑問符」を参照)

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