チェコで再生可能エネルギーへの助成削減が進められている。同国議会は30日、再可エネの最低買い取り価格を引き下げる法案を可決。再可エネ発電業界が強く反発している。
\業界団体の再可エネプラットホームは、「発電・配電事業者間の現行契約を無効にするもので、法治国家としてありえないこと」と非難する。これらの契約は15~20年の長期にわたって買い取り価格を定めている。その前提となっている法規定を変更するのは「民間契約に不当に介入する行為」であり、このような手法が認められるのならば、短期のうちに助成が完全に廃止される恐れさえあると主張している。
\特に抵抗が大きいのは、出力100キロワット時を超える施設について年末で最低買い取り価格を廃止するという条項だ。取引価格がスポット価格と連動することになれば、配電会社の交渉力が相対的に強まると懸念する。再可エネ事業者連合の顧問を務めるブルシク元環境相はチェコ経済紙『ホスポダルスケ・ノヴィニー』に対し、供給量が多いときには発電事業者が市場価格比で3割の値引きを迫られる可能性があると話した。
\昨年導入され、今回の法案に盛り込まれた太陽光発電税についても業界の反対が強い。これは、太陽光発電事業の利益に26%課税する内容だ。商工省は同措置を講じなければ「昨年の電力料金が18%も上昇することになっていた。太陽光発電所の乱立を食い止めるために必要だった」と説明している。
\同税については現在、憲法裁判所で合憲性の審査が進められている。
\業界専門家の間では、政府が再可エネ促進政策にブレーキをかけたことに理解を示す声も聞かれる。旧法では助成を通じて投資回収期間を16年から7年へと半分以下に短縮した。そのゆがみが現れているとの立場だ。
\オーストリア経済産業院(WKOe)プラハ事務所のザイヴァルト所長は、「太陽光や電力を利用した再可エネは供給量の変動が激しく、送電網への負荷が大きい。ブラックアウトを防ぐ技術はあるが、資金が要る」と話す。
\一方、電力供給事業者であるチェコ国営電力CEZや独エーオンは政府の方針を歓迎している。電力価格が上昇すれば、相応の負担が避けられなかったためだ。
\政府が70%出資するCEZは国内の再可エネ事業を縮小する一方で、国外事業は強化する方針だ。ポーランドとドイツで最大3,000メガワットの再可エネ設備の新設を計画している。
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