2012/2/22

総合・マクロ

中東欧3国の原発廃炉のコスト超過、EU補助金不足

この記事の要約

ブルガリア、リトアニア、スロバキアの3つの原発の8原子炉の廃炉に予想以上のコストがかかることが、欧州会計院(ECA)がこのほど発表したEUの廃炉補助金に関する調査報告で分かった。ECAの試算によると、廃炉コストは当初計画 […]

ブルガリア、リトアニア、スロバキアの3つの原発の8原子炉の廃炉に予想以上のコストがかかることが、欧州会計院(ECA)がこのほど発表したEUの廃炉補助金に関する調査報告で分かった。ECAの試算によると、廃炉コストは当初計画の2倍かかり、EU補助金が約25億ユーロ不足する。

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EUは、ブルガリアのコズロドイ原発の原子炉4基、リトアニアのイグナリナ原発の2基、スロバキアのボフニチェV1原発の2基は、安全上の問題の改善が不可能と判断。3国は、2004年のEU加盟の条件として、これらを廃炉にすることを受け入れた。EUが約束した廃炉向け補助金28億5,000万ユーロ(1999~2013年)のうち、これまでに11億ユーロが供与された。ECAは、8基とも稼働停止という第一段階の目標は達成したが、具体的な戦略がないまま廃炉作業が進んでいないことを問題視。また、EU資金が他の電力インフラの拡充に投入されるなど、本来の目的のために運用されていないことを指摘している。

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ECAは、欧州委員会に廃炉の進捗状況や今後の措置を詳細に分析評価し、融資計画を打ち出す必要があると助言している。また、2013年以降の資金援助はEUへの付加価値創出という観点に立ち、他の調達手段を取り入れることも検討すべきとしている。

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