ドイツの自動車大手ダイムラーが、ロシアの商用車最大手カマズに追加投資する。ロシア連邦独占禁止局(FAS)は19日、ダイムラーがカマズ株10%を買収し、出資比率を25%プラス1株に引き上げることを承認した。これにより、ダイムラーはカマズの少数阻止株を握り、経営への影響力を強める。
\今回の動きは、新興諸国で事業を拡大するグループ戦略に沿うもの。ダイムラーは、欧州標準の性能には及ばないが現地製品よりも優れた商用車「モダン・ドメスティックス」を展開して出荷を拡大する方針だ。販売台数を昨年の42万5,800台から来年に50万台、2020年には70万台に引き上げる目標を掲げる。
\ダイムラーは2008年にカマズ株10%を約1億9,000万ユーロで買収。その後2010年に欧州復興開発銀行(EBRD)と共同で5%を追加取得した。
\昨年9月にはトラック事業を統括するレンシャー取締役が追加投資の意向を表明していた。今年1月には過半数株を取得する方針と伝えられたが、同取締役は19日に「現時点ではその意向はない」と話している。
\ダイムラーは売上ベースで世界最大のトラックメーカーだ。しかし、新興諸国メーカーに台数ベースでリードを許したほか、同じドイツのフォルクスワーゲン(VW)が子会社のスカニア及びMANとトラック連合を結成して追撃態勢に入っていることなどから危機感を強めている。新興諸国戦略で業績を伸ばし、世界トップの座を守る意向だ。
\ロシアは欧州最大のトラック市場で、登録車の7割が車齢15年を超えるなど、更新需要も著しい。ノーボスチ・ロシア通信によると、カマズはトラック生産で世界11位、ディーゼルエンジン生産で同11位の座にある。昨年の生産台数は4万7,900台で世界80カ国に出荷した。
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