2012/3/21

ロシア

ルサールの代表監査役が辞任、経営方針で社長と対立

この記事の要約

アルミ世界最大手ルサールのヴィクトル・ヴェクセリベルク代表監査役が13日、突然辞任を表明した。経営方針をめぐってオレグ・デリパスカ社長との溝が深まり、関係修復が不可能と判断した。ルサールへの出資は継続するもようだ。ルサー […]

アルミ世界最大手ルサールのヴィクトル・ヴェクセリベルク代表監査役が13日、突然辞任を表明した。経営方針をめぐってオレグ・デリパスカ社長との溝が深まり、関係修復が不可能と判断した。ルサールへの出資は継続するもようだ。ルサールの取締役会は16日、香港商品取引所の張震遠(Barry Cheung)社長を後任に迎えることを決定した。

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ヴェクセリベルク氏は、世界最大のアルミメーカーだったルサールが、経営の失敗で巨額債務企業になってしまったとデリパスカ社長を批判。取締役会が株主協約に反する決定を、監査役会の承認も受けずに実行する事態に及んでいるとした。

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ルサール側もヴェクセリベルク氏が1年前から定期会合を欠席し、昨年6月の株主総会にも現れないなど、監査役としての責務を十分果たさなかったと批判している。

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ヴェクセリベルク氏は2007年にシベリア・ウラル・アルミニウム(SUAL)とルサールが合併して以来、ルサールの代表監査役を務めてきた。レオニード・ブラヴァトニク氏と共同でルサールの15.8%を保有する。47.4%を出資する筆頭株主のデリパスカ社長とは債務削減の方策をめぐって対立を続けていた。

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ルサールは、2008年にノリリスク・ニッケル株の25%を140億米ドルで購入したことで有利子債務が110億米ドルに膨らんだ。ヴェクセリベルク氏がノリリスク・ニッケルによる同株買い戻しの提案に応じることに賛成したのに対し、デリパスカ社長は反対の立場を崩さなかった。

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■ノリリスク株の償却で92%減益

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ルサールが19日発表した2011年通期の純利益は2億3,700万ドルとなり、前期から92%も縮小した。ノリリスク・ニッケル株の評価替えによる償却費が重荷となった。中核事業の業況を示す調整済み純利益は25%増の9億8,700万ドルに拡大した。

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アルミニウム生産高は412万トンと1%の微増。アルミナは815万トンと4%増加した。

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ルサールはアルミニウム生産量を6%縮小する方針を示したが、具体的な日程は明らかにしなかった。(ヴィクトル・ヴェクセリベルク氏については今週号「コーヒーブレーク、快活な億万長者~ロシア」を参照)

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