2012/3/21

ロシア

ガスプロムのアジア市場開拓、道のり険しく

この記事の要約

ロシア国営天然ガス企業ガスプロムは、最大の輸出先である欧州でガス需要が頭打ちとなる中、成長著しいアジア市場の開拓に力を入れている。ただ、新型天然ガスであるシェールガスの生産を急増させている米国もアジアへの輸出に乗り出す構 […]

ロシア国営天然ガス企業ガスプロムは、最大の輸出先である欧州でガス需要が頭打ちとなる中、成長著しいアジア市場の開拓に力を入れている。ただ、新型天然ガスであるシェールガスの生産を急増させている米国もアジアへの輸出に乗り出す構えを見せており、今後アジアの天然ガス市場の争奪戦が激化しそうだ。

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ガスプロムはアジアの巨大市場であるインドの開拓を積極的に進めており、昨年はインドガス公社(GAIL)、液化天然ガス(LNG)大手ペトロネット、グジャラート州石油公社、インディアンオイルの4社と、それぞれ25年間にわたり年間250万トンのLNGを供給することで基本合意、年内に正式契約する見通しとなっている。ただGAILは昨年12月、米シェニエール・エナジー・パートナーズと年間350万トンのLNG購入契約を締結、米国から天然ガスを調達するアジア初の企業となった。シェニエールの輸出価格は米国のベンチマーク価格と連動することになっており、ベンチマーク価格は現在、100万BTU(英熱量)当たり2.21米ドルと10年ぶりの安値となっている。一方、ガスプロムは原油価格連動型の長期契約で天然ガスを供給しているため、価格面では米国産ガスと比べて不利だ。インド最大のLNG輸入会社であるペトロネットのバルヤン最高経営責任者(CEO)は、ガスプロムとLNGの輸入価格の交渉を開始したことを明らかにするとともに、「(価格を)米国やその他の市場と比較する必要がある」と明言している。大手投資銀行トロイカ・ディアローグのアナリスト、ネスチェロフ氏は、中国向け天然ガス輸出交渉が価格をめぐって頓挫したことに言及し、インドでも同様の展開になる可能性もあると指摘。インド側との交渉は「たやすくはないだろう」と警戒感を示す。

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国際エネルギー機関(IEA)によると、インドの天然ガス需要は年に6.5%の割合で伸びている。同国は国内ガス需要の25%を輸入しており、最大の供給国は中東のカタール。ガスプロムは07年からインドに天然ガスを不定期に供給している。

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