2012/4/4

ロシア

システマのインド携帯事業免許はく奪、政府汚職疑惑で

この記事の要約

インド最高裁判所がロシアの複合企業システマとノルウェー通信大手テレノールの移動通信事業免許を無効とする判決を下したことで、インド政府は両社に対する損害賠償を迫られることになりそうだ。2008年の免許付与以来、両社の投資残 […]

インド最高裁判所がロシアの複合企業システマとノルウェー通信大手テレノールの移動通信事業免許を無効とする判決を下したことで、インド政府は両社に対する損害賠償を迫られることになりそうだ。2008年の免許付与以来、両社の投資残高は合わせて58億米ドルにも上る。

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システマはこれに対し、印露2国間投資促進保護協定に基づき、インド事業の継続を模索する方向を示した。ただ、6カ月以内に友好的な解決が成らなければ、政府を相手取り訴訟を起こす予定だ。

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テレノールはシンガポール子会社を通じて免許を取得し、インド事業を展開してきた。シンガポールはインドと包括的経済連携協定を結んでおり、これに基づき損害賠償を請求する構えだ。現地提携先のユニテックについては、不正行為があったとして準司法機関である会社法委員会に訴えた。

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政府系シンクタンクの途上国研究情報システム(RIS)のビスワジット・ダール所長は、「この問題が解決できなければ国の財政負担が増えるばかりでなく、インドのイメージが悪化する恐れもある」と話す。また、最高裁が判決時に二国間協定を考慮に入れなかったこともイメージダウンにつながったとみる。

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インドは2008年に第2世代携帯の周波数帯を割り当てた。これについて汚職疑惑が浮上したため、国の会計検査官が調査を実施。「入札手続きが不透明で破格の安さで落札され、国庫に300億ドルの損害が生じた」との結果を発表した。最高裁はこれを根拠として、今年2月に免許122件の無効を宣告した。

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この疑惑をめぐり、アンディムテュ・ラジャ前通信相は訴追を受けている。通信相官僚や議員、ユニテックのチャンドラ取締役も逮捕された。しかし、被疑者はすべて容疑を否定している。

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システマは現地のシャムグループと、テレノールはユニテックと提携し、それぞれ31億ドル、1,400億ルピー(27億ドル)を投資してきた。

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