ロシアのメドベージェフ大統領が国営銀行の政府持ち株比率を引き下げるよう指示したことに関し、大手格付け会社のフィッチ・レーティングスは3月26日、ロシアの銀行の格付けにマイナスの影響を与える可能性があるとの見解を示した。
\メドベージェフ大統領は先ごろ政府と中央銀行に対し、国営銀行の政府持ち株比率を50%未満に引き下げる案を9月1日までにまとめるよう指示した。政府は最大手銀行のズベルバンク(ロシア連邦貯蓄銀行)に57.6%、2位の対外貿易銀行(VTB)に75.5%、ロスセリホズバンク(ロシア農業銀行)に100%をそれぞれ出資する。ズベルバンクとVTBは両行合わせて資産規模でロシア国内金融市場の約60%を握り金融市場を支える存在だが、2009年の金融危機の際には政府から多額の救済措置を受けた。また、VTBは昨年買収したモスクワ銀行の不良債権問題をめぐり、140億ルーブルの救済融資を受けている。フィッチはこれら大手国営銀行への政府持ち株比率が低下することは、政府からこれまでのような手厚い保護は期待できなくなることを意味すると指摘する。ズベルバンクとVTBの格付けは現在「BBB/安定的」となっているが、フィッチは政治的支援が突然引き上げられることはないにしても、政府の関与が低下することはリスクだとして、今後の動向によっては格下げにつながる可能性もあるとしている。
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