2012/5/2

ハンガリー

MOLがナブッコ計画撤退も、12年度予算を承認せず

この記事の要約

カスピ海周辺国の天然ガスをトルコ経由で欧州に運ぶ「ナブッコ・パイプライン」の建設プロジェクトをめぐり、ハンガリー石油・ガス最大手MOLは4月24日、プロジェクトの推進母体であるナブッコ・インターナショナル・カンパニー(N […]

カスピ海周辺国の天然ガスをトルコ経由で欧州に運ぶ「ナブッコ・パイプライン」の建設プロジェクトをめぐり、ハンガリー石油・ガス最大手MOLは4月24日、プロジェクトの推進母体であるナブッコ・インターナショナル・カンパニー(NIC)の2012年度予算を承認しないと発表した。プロジェクトの存続性に疑義があるためと説明している。

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ナブッコはトルコからグルジアを経由してオーストリアに至る全長3,900キロの天然ガスパイプラインで、輸送能力は年間310億立方メートル。2013年の着工、2017年の開通を目指しているが、天然ガスの調達先が十分に確保できておらず、建設コストも当初計画から膨らみ続けていることなどから実現を危ぶむ声が出ている。MOLは声明で、「ナブッコ・プロジェクトには無視することのできない不確定要素が多くある」と指摘。同社は過去にこれらの不安要素についてたびたび指摘してきたが、これらが解消されていない現状を踏まえ、「NICにこれ以上資金を提供することは持続可能ではないと判断した」と、12年度予算を承認しない理由を説明した。一方、NICの広報も声明を発表し、「すべてのパイプライン経由国がプロジェクトを支援すると約束しており、プロジェクトは順調に進んでいる。ナブッコのハンガリーの株主は引き続きMOLの子会社FGSZであり、これが変更になるという話は聞いていない」と計画に変更はないことを強調した。

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欧州連合(EU)はガス供給源や輸送ルートの多様化を進めてエネルギー分野におけるロシア依存からの脱却を図ろうとしており、ナブッコ計画をエネルギー戦略の柱のひとつと位置づけている。NICにはMOLのほか独RWE、墺OMV、ブルガリアEAD、ルーマニアのトランスガス、トルコのボタシュが出資する。

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