2012/5/2

チェコ・スロバキア

チェコ、14年から再可エネへの新規助成廃止か

この記事の要約

チェコ・エネルギー規制局(ERU)のヴィタースコヴァー局長は25日、再生可能エネルギーに対する新規助成を2014年から廃止する計画を発表した。電力料金の高騰を防いで国民や産業の負担増加に歯止めをかける狙い。また、下院で審 […]

チェコ・エネルギー規制局(ERU)のヴィタースコヴァー局長は25日、再生可能エネルギーに対する新規助成を2014年から廃止する計画を発表した。電力料金の高騰を防いで国民や産業の負担増加に歯止めをかける狙い。また、下院で審議中の再可エネ助成法案に対しては、新たなリスクをはらむとの見方を示した。

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ヴィタースコヴァー局長は現行の再可エネ法がブレーキの壊れた暴走機関車のようなものと話す。2010年に頂点を迎えたソーラーブームが示したように、収拾が付かない事態を招く原因となるとみる。早期に手を打たなければ再びこのような事態が起こり、国民経済に深刻な影響を及ぼすと懸念している。

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また、チェコは電力需要に占める再可エネ比率を2013年に13.5%まで引き上げるという欧州連合(EU)との約束を確実に果たせるとし、本来の期限が2020年であることを考えれば、2014年以降、再可エネに対する助成をすべて廃止できると話した。

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新規助成の時期を2014年にするか2020年にするかで助成額には1,960億コルナの差が出る。また、再可エネの助成対象を広げる法案が成立し、かつ助成廃止が2020年となった場合は、2014年廃止のケースと比べて差額が6,173億コルナに広がるという。

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同法案はヴァツラス・クラウス大統領が阻止権を行使して下院に差し戻した。ただ、下院が修正のうえ可決すれば成立する。

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ヴィタースコヴァー局長は、新法のリスクをバイオメタンに対する手厚い助成措置にみる。ソーラーブームをさらに上回る負担を電力消費者に強いる可能性があるという。

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2014年以降の助成のあり方については、現在とは異なる考え抜かれた制度を作り、限られた助成金をどのような再可エネ技術に振り向けるか、専門家による討議を通じて決定するようになるかも知れないと話している。

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2014年以降の新助成がゼロになったとしても、チェコは過去の投資について助成金を数十年にわたり払い続けなければならない。今年の助成総額は384億コルナに達する見通しだ。ソーラー発電業界はそのうち3分の2を受け取るが、再可電力に占める比率は8%に過ぎない。昨年は電力料金の11%が再可エネへの助成金で占められた。

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一方で環境保護団体グリーンピースのエネルギー専門家、ロヴェンスキー氏はERUの方針を批判する。火力発電による環境や健康への被害が年間1,180億コルナと推定されていることを考慮すれば、再可エネへの支援額は決して多くないとの主張だ。「再可エネ産業が旧来の電力産業と対等に競争できる環境を整えなければならないのに、その兆候が全く見られない」と憤慨している。(1CZK=4.23JPY)

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