チェコ中央銀行のヤナチェク理事は24日、今年7月以降に利上げが検討されるとの見通しを示した。中銀目標を上回っているインフレ率を引き下げ、賃上げ圧力を弱めるのが狙い。
\中銀は政策金利である14日物レポ金利を2010年5月以来、過去最低の0.75%に設定している。これは欧州中央銀行(ECB)の金利を0.25ポイント下回る水準だ。
\昨年後半の景気後退で借入コストは安定しているが、年初の付加価値税(VAT)引き上げによって、インフレ率は過去3年間で最高の水準に達している。3月は3.8%に上昇し、中銀目標の2%を6カ月連続で上回った。ただし、VAT増税の影響を除くと2.7%だった。
\中銀は今年はインフレ率が3%を超えるが、来年第1四半期は1.5%に低下すると予測する。ただ、ネチャス首相が来年初めにさらなる税率引き上げを予定していることから、予測の見直しもありうるという。
\チェコ経済は、政府の支出削減の影響を輸出で補いきれず、昨年第3、第4四半期にそれぞれ0.1%の縮小を余儀なくされた。ヤナチェク理事は、今年も内需が国内総生産(GDP)の拡大に貢献することはなく、輸出がひとり経済を引っ張ることになると話す。
\賃金交渉の行方も、現在の物価上昇率がインフレ期待の高まりにつながるかどうかをみる上で重要なポイントとなるという。シュコダ自動車は今年4月から来年3月までの賃金を5%引き上げることで労組と合意した。もしすべての産業分野で名目賃金が4~5%、あるいはもっと上昇するようなことがあれば、単位労働コストが高くなり、チェコ経済の競争力が阻害される恐れがある。また、需要が増加してインフレ圧力が高まることも考えられる。
\ヤナチェク理事によれば、内需が原因で物価が上昇するリスクは現時点では存在しない。しかし、この状況がいつまで続くか、あるいは状況の変化にどれぐらい時間がかかるのかを見極めることが重要だ。来年からのVAT増税でインフレ期待が高まるかどうかが判断のポイントの一つとなる。
\ \■欧州の中銀、判断はさまざま
\欧州債務危機のなかで、欧州の中央銀行は経済成長予測とインフレ圧力を勘案しながら金利を設定しているが、その対応はさまざまだ。
\ハンガリーは24日、14日物デポジット金利を4カ月連続で7%に据え置いた。ルーマニアは11月以来、4回の利下げで政策金利を過去最低基準の5.25%に設定している。ポーランドは先月4日、主要政策金利を10カ月連続で据え置いた。
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