2012/5/2

ロシア

メドベージェフ大統領、近代化の成果あがらず

この記事の要約

ロシアのメドベージェフ大統領は24日、退任を前に国家評議会で演説し、「自由がないよりも自由なほうが良い」との信念に基づき、市民の権利強化や経済活動の自由化を進めてきたと任期中の仕事を総括した。しかし、その成果は十分とは言 […]

ロシアのメドベージェフ大統領は24日、退任を前に国家評議会で演説し、「自由がないよりも自由なほうが良い」との信念に基づき、市民の権利強化や経済活動の自由化を進めてきたと任期中の仕事を総括した。しかし、その成果は十分とは言えず、立法が実現した場合でさえも内容が遵守されないケースが多々あるようだ。任期終了を前に、政党登録の簡易化や地方自治体首長の選挙制復活といった改革を提案したことも、反プーチン派の活動家は市民運動の成果としか見ていない。

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プーチン次期大統領が2000~08年の大統領任期中に強権的手法を用いたことについては、90年代の混乱の状態から統治を可能にするには仕方がなかったと理解を示した。ただ、自治体首長の任命制を導入した04年には混乱が治まっていた事実を考慮すると、その理由付けは必ずしも当たっていないといわざるを得ない。

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メドベージェフ大統領に近い現代発展研究所(Insor)のユルゲンス氏は、改革を実行に移すには、現状から利を得ている反近代化勢力の力が強すぎたと話す。

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また、パヴロフスキー元政治顧問は、プーチン次期大統領の裁量で富と権力にありついた取り巻き「プーチン集団」が2010年ごろからプーチン氏に立候補を強く働きかけていたとし、メドベージェフ大統領が早い時期にこれら有力者の富の維持を保証しなかったことが再出馬に至らなかった原因とみている。

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今月7日にはプーチン氏が正式に大統領に就任し、翌8日にはメドベージェフ氏が首相に選出される。プーチン氏は形式的にも政界のナンバー1に返り咲き、ロシアの政治構造が温存されるのはほぼ確実だ。

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■メドベージェフ氏が「統一ロシア」党首に

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プーチン氏はまた、大統領就任にあたって与党「統一ロシア」の党首の座をメドベージェフ氏に明け渡す方針だ。現地通信社の報道によると、国家元首が超党派であることがロシアの伝統と理由を説明している。

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ただ、統一ロシアは昨年12月の議会選挙で、選挙活動の制限や票操作にも関わらず得票を大きく減らすなど、国民の支持を失いつつある。プーチン氏はすでに新しい支持基盤として「全ロシア国民戦線」を結成しており、人気のない統一ロシアから距離を置くことが党首辞任の本当の理由とみられる。

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