ハンガリーの製薬大手エージス・ファーマシューティカルズが15日発表した2012年1-3月期(第2四半期)の純利益は64億5,000万フォリントとなり、前年同期から42.2%増加した。利ざやの改善と金融収支の黒字転換が貢献した。通貨フォリントの為替相場がロシア・ルーブルおよびユーロに対して下落したことも追い風となった。
\売上高は6.1%増の335億フォリント。売上原価は4.6%増の139億フォリントにとどまった。これにより、粗利益は7.2%増の196億フォリントに拡大した。
\金融収支は1億100万フォリントの黒字で、前年同期の12億7,000万フォリントの赤字から大幅に改善した。
\地域別ではロシアが初めて本国ハンガリーを超えて最大市場となった。売上に占めるハンガリーの比率は25%弱で、エージスでは今後数年以内に20%以下に縮小する可能性もあるとみる。
\ハンガリーで昨年導入された新しい医薬品助成制度が価格低下を招き、上半期(11年10月~12年3月)に主力製品3種の販売を中止したことが響いた。以前から、同制度の影響でエージスの売上高が半期ごとに10億フォリント減ると予想されていた。
\ロシアにおけるユーロ建て売上高は前年同期比3%増の3,030万ユーロと健闘。ウクライナは40%増の340万ユーロを記録した。その他の独立国家共同体(CIS)諸国では17%増の740万ユーロを達成した。
\一方、中東欧市場は8%減の3,050万ユーロに低下した。なかでも、主要市場のポーランドは前年同期比15%減の1,400万ユーロに落ち込んだ。ユーロ高ズロチ安の影響に加え、同国における医薬品価格・薬価補助規制の改定で市場環境が悪化したことが足かせとなっている。
\チェコは7%減の420万ユーロ、スロバキアは5%減の320万ユーロ、ルーマニアは4%減の440万ユーロだった。
\原薬など他の製品の輸出は27%増の1,240万ユーロに増加したが、利益は例年実績を下回った。
\ \■通期売上見通しを上方修正
\エージスは17日、フォリント建ての通期売上高見通しを従来の0~2%増から3~5%増へ引き上げた。
\市場別では独立国家共同体(CIS)で従来の10~12%増から5~10%増へ引き下げた。在庫減少分を年度内に補充することが難しいためだ。また、ロシア市場の成長率が予想を下回っていることも理由だ。
\中東欧市場については、従来の5%減から10~15%減に修正した。
\その他の市場では従来どおり0~5%増を堅持する。(1HUF=0.34JPY)
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