2012/10/24

ポーランド

石油・ガス企業に新たな課税制度を導入へ

この記事の要約

ポーランド政府は16日、石油と天然ガスの生産事業者に対する新たな課税制度案を発表した。生産量と利益に応じて課税する仕組みで、2015年1月の導入を目指す。\ ポーランドでは新たなエネルギー資源として注目を集めるシェールガ […]

ポーランド政府は16日、石油と天然ガスの生産事業者に対する新たな課税制度案を発表した。生産量と利益に応じて課税する仕組みで、2015年1月の導入を目指す。

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ポーランドでは新たなエネルギー資源として注目を集めるシェールガスの豊富な埋蔵が確認されており、政府は開発に力を入れると同時に、シェールガスなど非在来型資源を含めたエネルギー資源に対する新たな税制の枠組みの整備を進めている。

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新税は在来型・非在来型を問わず、すべての石油ガス企業を対象とし、政府は税収の一部でシェールガス開発基金を設置して長期的投資を支援する計画。

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今回発表された課税制度案によると、天然ガス(シェールガスを含む)については生産額の5%、石油は10%が徴収されるほか、「特別炭化水素税」として利益の25%が課税される。また、現在は1,000立方メートル当たり4.90ズロチ(1.56米ドル)から5.89ズロチを徴収している採掘料を20~24ズロチに引き上げる。これにより、石油・天然ガス企業の税負担は最高で税引き前利益の40%に達するが、大手証券会社KBCセキュリティーズのアナリスト、チャーサール氏は「他国と比べるとこの税制は魅力的だ」と指摘、ポーランドでの資源開発に対する企業の関心が高まるとの見方を示す。同氏によると、英国では50%の石油収入税が課され、ノルウェーでは石油・ガス企業の総税負担が利益78%にのぼるという。

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政府はまた、資源開発業界を監督し、開発ライセンスの先買権を持つ国立エネルギー鉱物オペレーター(NOKE:Narodowy Operator Kopalin Energetycznych)を設立する。NOKEは全額政府出資により国家資産省の下に新設され、事業免許の再販に対して、拒否権を持つ。免許再販時の売却先は、事前認可を受けている企業に限られる。

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今後新たに探鉱ライセンスを取得したい企業は、予備審査に合格することがライセンス入札に参加する条件となる。ただ、現在ある鉱区の探鉱ライセンスを保有する企業は、その鉱区の生産ライセンスを優先的に取得する権利を持つ。また、掘削をともなわない探査事業については、競争を促すため、免許不要とする。

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政府はさらに、シェールガス業界での長期投資を支援する目的でハイドロカーボン・ジェネレーションズ基金を開設する。新税の税収とNOKEの利益の一部は同基金に積み立てられ、炭化水素資源の長期プロジェクトに活用される。

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シェールガス業界は、将来の見通しを立てるため、法的枠組みの導入を強く求めていた。すでに活動を始めている企業の中には、その明確化を見込んで、今年に入ってから試掘井の掘削作業を遅らせるところも多く存在した。

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ドナルド・タスク首相は今月の施政方針演説の中で、シェールガス探索事業への国内企業の投資額は2016年までに50億ズロチ(16億米ドル)、国外企業は500億ズロチに上る見込みと話した。トマシュ・アラブスキ官房長官は、巨額の投資をめぐる問題だけに、政府案について公の議論を促し、投資の安全性・透明性を確保したいと説明している。

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