仏食品大手ダノンは先ごろ、ルーマニアの酪農業者を支援するプロジェクトを開始した。発展が遅れている地域の小規模酪農業者を対象に今後4年間で総額190万ユーロを投じ、欧州連合(EU)の品質基準を満たす牛乳を生産できるようサポートする。10月29日付け経済紙『ビジネス・レビュー』が伝えた。
\プロジェクトはダノン・ルーマニアと国際NGOヘイファー、ダノン・エコシステム・インベストメントが共同で実施するもの。ジムニチャ、ココラシュティイ、ベリンの小規模酪農業者に対して地元の在来種と比べ3倍の乳量を生産できるホルスタイン種の乳牛を無料で貸与するとともに、乳牛の適切なケアを指導し生産者組合の設立を支援する。
\ルーマニアには78万軒の酪農場があるが、そのうち85%は牛が1~3頭までの零細業者だ。同国では2014年1月以降、EUの衛生・安全基準をクリアする牛乳のみ販売が認められる。国家動物衛生・食品安全局の調べによると、2011年夏時点で国内で生産される牛乳のうちEU基準をクリアしたのは全体の8割。同局では13年末までにこの割合を100%に引き上げることができるとの見通しを示している。しかし、このところの景気低迷や資金繰りの悪化、飼料価格の高騰に今年の夏の干ばつが追い打ちをかけ、酪農業者の経営状況は厳しさを増しており、牛乳の質が低下しているとの指摘もあり、14年までの基準達成は不可能だとの見方も出ている。
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