天然ガスをアジアから欧州に輸送するナブッコ・ガスパイプラインプロジェクトに参画するコンソーシアム(企業連合)はウイーンで18日、アゼルバイジャンのシャーデニス・ガス田第IIフェーズ開発コンソーシアムと協力協定を締結した。シャーデニス・コンソーシアムはナブッコプロジェクト開発に共同で携わるほか、開発に必要な資金面で協力する。また、シャーデニスが将来、ナブッコを中欧へのガス輸出ルートに決定した場合は、見返りとしてナブッコへの50%出資を認めるオプションも合わせて取り決めた。ナブッコは競合するプロジェクトやコスト高などから経済性が疑問視され、頓挫の危機にさらされていたが、新たなパートナーを獲得したことで実現に向け大きな一歩を踏み出した。
\ナブッコはアゼルバイジャンおよび中央アジアで産出される天然ガスをトルコ、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリーを通ってオーストリアに輸送する全長3,900キロメートルのガスパイプランを建設するプロジェクトで、天然ガス輸入でロシアへの依存を引き下げることを目的とする。2013年の着工、2017年の開通を目指しているが、天然ガスの調達先が十分に確保できておらず、建設コストも当初計画から膨らみ続けていることなどから、同コンソーシアムは昨年、アゼルバイジャン~トルコ間については独自のパイプラインを建設する代わりにTANAPパイプラインに接続し、トルコ国境から西側のルート(ナブッコ・ウェスト)だけを建設するともに、輸送能力を年160億立方メートルに引き下げるなど、プロジェクト規模縮小を余儀なくされていた。また、ナブッコ・ウェストは6月、シャーデニスIIから中欧へのガス輸出で優先パートナーに選定された一方、トルコ国境からアドリア海を通ってイタリアをつなぐ競合のTAPプロジェクトが昨年、シャーデニス・コンソーシアムに対し、欧州へのガス輸出ルートに決定する見返りとしてTAPへの出資オプションを認めており、ナブッコ関係者の間では、同様に出資を認めなければプロジェクトの実現は絶望的との声が高まっていた。
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