2013/1/30

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

原発新設計画、再審議へ=ブルガリア

この記事の要約

ブルガリアで27日、原子力発電所新設の是非を問う国民投票が行われた。中央選管速報値によると、賛成票が60.5%と過半数を占めたものの投票率が21.7%と成立要件である60%(=前回の議会選挙投票率)に満たず、無効となった […]

ブルガリアで27日、原子力発電所新設の是非を問う国民投票が行われた。中央選管速報値によると、賛成票が60.5%と過半数を占めたものの投票率が21.7%と成立要件である60%(=前回の議会選挙投票率)に満たず、無効となった。ただし、再審議を義務付ける20%は超えたため、今後は議会で攻防が繰り広げられることになる。

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中道右派のボイコ・ボリソフ政権は昨年3月、コスト高を理由に北部ベレネにおける国内第2の原発建設計画を中止した。代わって既存のコズロドゥイ原発を拡張する方針を発表した。自らの政権時代にベレネ計画を進めた社会党(BSP)がこれに反対し、50万人の署名を集めて国民投票に持ち込んだ。

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今回の国民投票は7月の議会選の前哨戦とみられている。投票後、ボリソフ首相率いる与党「ヨーロッパ発展のためのブルガリア市民(GERB)」はベレネ原発新設に反対する立場を改めて示した。一方、社会党は過半数の賛成が国民全体の賛成の意思を示すものとし、議会選で勝利したあかつきには計画を推進すると言明した。

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原発利用で国内世論はほぼ一致しており、いずれにしても原子炉が増設されることは間違いない。このため、国民の多くが国民投票を政治闘争に過ぎないと判断して棄権したとの見方もある。

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ベレネにおける原発新設は1980年代から計画されていたが、体制変換の流れでとん挫した。2005年に選ばれた社会党政権が改めて取り上げ、翌06年にロシアのアトムストロイエクスポルトに建設を発注した。

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しかし、ボリソフ政権は建設費用が当初予測の40億ユーロから100億ユーロまで上昇したとして、コズロドゥイ原発での原子炉増設・改修、ベレネにおけるガス火力発電所建設に方針を転換した。

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なお、アトムストロイエクスポルトは契約に基いて実施済みの仕事の代償としてブルガリアに10億ユーロを請求している(東欧経済ニュース2012年4月25日号「ブルガリアのコズロドゥイ原発、設備近代化に2億5,000万ユーロ」、4月4日号「ブルガリア、ベレネ原発建設計画を中止」を参照)。

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