スロベニアの老舗スキー用品メーカー、エランの民営化計画が頓挫した。多数株取得を予定していた英国の投資ファンド、アーガス・キャピタルが買収提案を取り下げたためだ。エランの監査役会は売却手続きの継続を決定したが、他の売却先候補などの詳細は明らかでない。エランは2008年に政府から受けた1,000万ユーロの支援が欧州法に抵触するとして返済を迫られており、民営化が成らなければ資金繰りの目処が立たない状況にある。
\エランの民営化手続きは2年前に開始された。アーガスは今年1月、多数株の取得に向けてエラン株主と秘密保持契約(CA)を締結した。メディア報道によれば、多数株を100万ユーロ未満で買収し、1,500万ユーロの資金を注入する方向だったという。今月末までに買収契約を結び、7月までに取引を完了する予定だった。
\理由は公表されていないが、メディアは◇財務問題◇スロベニアの信用格付け低下◇政府助成金の返還◇前社長に対する裁判の継続◇先月倒産した墺スノーボード子会社の債務保証――などによるリスク拡大で、採算性が不透明となったためではないかと報じている。
\エランの出資構成は政府系持ち株会社のPDPが66.3%、国家基金KAD傘下のモドラ保険が8.6%、トリグラフ・インベストメンツが25%となっている。
\政府助成金の返還についてエランは欧州委員会の決定を不服として、欧州裁判所に提訴している。
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