2013/5/29

総合・マクロ

天然ガス「南回廊」構想、関連国が相次ぎ推進を確認

この記事の要約

天然ガス調達におけるロシア依存を弱める目的で欧州連合(EU)が進める「南回廊」の整備で、関連各国が相次いで推進に向けた決意を表明した。主要調達先であるアゼルバイジャンのシャーデニスII・ガス田の企業連合が6月末までに欧州 […]

天然ガス調達におけるロシア依存を弱める目的で欧州連合(EU)が進める「南回廊」の整備で、関連各国が相次いで推進に向けた決意を表明した。主要調達先であるアゼルバイジャンのシャーデニスII・ガス田の企業連合が6月末までに欧州への供給ルートを最終決定するのを前に、それぞれのプロジェクトを支援する姿勢を改めて確認した形だ。

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ナブッコ・パイプライン計画に関与するオーストリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、トルコの5カ国と企業代表は21日、ブカレストで開かれた第5回ナブッコ委員会で、プロジェクトの重要性を確認する共同宣言を採択した。また、新たな出資受け入れに向けた提携・出資協定を共同採択した。

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ナブッコ委員会は、ナブッコ・ウェスト・パイプラインと、アナトリア横断パイプライン(TANAP)の補完性を強調した。また、EU内のガス輸送網の相互接続を進めていくことで、バルカン西部だけでなく、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアの中欧4カ国、さらに欧州北部までの供給体制を強化できると指摘した。

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ナブッコ委員会は同プロジェクトの関連国および参加企業の調整作業を担当する機関だ。2009年のトルコ・カイセリでの設置以後、ウィーン、ソフィア、ブダペストで会合が開かれ、今回のブカレストが5回目となる。

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一方、競合するアドリア海横断パイプライン(TAP)を支持するモンテネグロ、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチアの4カ国の政府代表は23日、アルバニアの首都ティラナで、TAPおよびその支線であるイオニア・アドリア・パイプライン(IAP)の建設推進・提携に向けた基本合意書に調印した。

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IAPはギリシャでTANAPと接続し、アルバニア、アドリア海を経由してイタリアと結ぶ。長さは約800キロメートルだ。

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TAPはアルバニアのフィエルでTANAPから分岐。モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナを通りクロアチアのスプリトに至る。全長は500キロメートル強となる。(東欧経済ニュース5月15日号「ナブッコ・パイプライン、オープンシーズンを開始」、3月13日号「ナブッコとTANAPが協力で合意」1月23日号「ナブッコ・パイプライン、シャーデニスと協力協定」を参照)

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