チェコでは5月末から欧州中部で続いた豪雨政府よる河川の氾濫で首都プラハをはじめボヘミア地方の800以上の自治体で道路や鉄道、地下鉄などの交通インフラや家屋に重大な洪水被害が及んだ。観光や農業、製造業のダメージが、景気後退局面の最中にあるチェコ経済に追い打ちをかけるとの懸念される一方で、復旧・復興需要による押し上げ効果を期待する声もある。
\復旧・復興関連で最も恩恵を受けるのは建設業界だ。家屋や道路、鉄道路線の再建だけでなく、水害対策の強化の需要が見込める。墺大手銀行エルステバンクによると、復旧作業にかかる費用は350億コルナに上ると推定される。このうち80%は保険、EU結束基金、政府予算によって賄われる見通しで、復興需要は下期に国内総生産GDPを0.7%押し上げるとの試算が出ている。
\チェコは2002年に今回を上回る規模の大洪水に見舞われている。政府は前回の災害を教訓に、今回の洪水では住民の避難や公共インフラ・交通機関の閉鎖を早期に実施し、被害を最小限に食い止めることに取り組んだ。国内経済アナリストは、特に大企業への影響が最低限に抑えられたこと、自動車産業など重要部門への影響が少なかったことなどから、今回の洪水による経済への長期的な影響はないとの見方を示している。
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