チェコの実業家アンドレイ・バビシュ氏が、独出版社ライニッシュ・ベルギッシェ・フェアラークスゲゼルシャフトから、主力日刊紙を傘下に置くマルファを買収する。チェコとスロバキアに強力なメディア企業を築く戦略に沿うもの。取引には競争当局(UHOS)の許可が必要となる。バビシュ氏は、来年の議会選出馬を予告しており、今回の買収と政界進出との関連性にも注目が集まる。
\マルファは主要日刊紙の『ムラダー・フロンタ・ドネス』、『リドヴェー・ノヴィニー』や無料紙『メトロ』を発行するほか、ネット・ポータルの「IDNES.cz」と「lidovsky.cz」、音楽テレビ局「Ocko」、仮想移動体通信事業者(MVNO)の「Mobil.cz」を運営する。
\バビシュ氏は農業化学大手アグロフェルトのオーナーで、米『フォーブス』誌による推定資産額は14億米ドルに上る。すでにチェコとスロバキアのメディア市場で活動を始めている。チェコでは昨年から無料週刊紙『5+2 Dny』を発行。スロバキアでは今年、出版社のエコプレスのほか、数多くの専門メディア、日刊経済紙『ホスポダルスケ・ノヴィニー』を買収した。
\一方、スイス・ドイツ資本のリンギエ・アクセル・シュプリンガー・メディア(RASMAG)のチェコ部門買収の憶測については、RASMAG側がその事実を否定している。
\バビシュ氏は2011年に政党「Ano2011」を発足させ、「汚職撲滅や財政運営改善などを通じて公正な社会を実現する」目標を掲げた。一方で過去に一度ならず経済犯罪の容疑で捜査の対象となったことがある。
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