米石油メジャーのエクソンモービルは12日、ウクライナ領黒海海底におけるガス田探索で同国政府と契約を締結した。契約料として3億3,500万米ドルを政府に支払うほか、4億ドルを地震探査と抗井2本の試掘に投資する。エネルギー省関係者が明らかにした。
\対象となるのは、大規模なガス田が発見されたルーマニア領ネプチューン鉱区に隣接するスキフスカ(Skifska)鉱区で、年内にも正式なライセンス契約が結ばれる予定だ。ライセンス料は3億ドルを超える見通し。
\ウクライナ政府はその後、他の黒海鉱区の権益についても入札を実施する方針だ。
\黒海ではルーマニア領海におけるガス田発見を受けて、石油会社による開発の機運が高まっている。沿岸諸国のエネルギー需要拡大もこれを後押ししている。
\ブルームバーグ通信の産業アナリスト、クラデク(Chladek)氏によると、黒海は鉱井数が100本以下と北海の7,000本超などに比べてずっと少なく、石油産業による本格的開拓はこれから。掘削技術の向上に加え、エネルギー価格上昇で採算性が確保できるようになったことで、石油大手が水深300メートル以上の難しい水域に取り組むようになっている。
\エクソンは昨年、ルーマニアのOMVペトロムと、ネプチューン鉱区で大規模なガス田を発見した。開発中の「ドミノ1」抗井は生産能力が日量1,780万立方メートルと推定されている。これはルーマニアのガス需要の半分に匹敵する。
\エクソンはルーマニアでの成功に自信を得て、今後2~3年でウクライナ、ブルガリア、ロシア領の黒海でも探索を行う方針だ。スキフスカ鉱区については昨年8月、シェル、OMVペトロム及びウクライナ国営のナドラと共同で、開発権を落札した。
\ウクライナ政府はロシアへのエネルギー依存を弱めるために国内資源開発を進めている。2011年にロシアとドイツを結ぶバルト海海底パイプライン「ノルド・ストリーム」が完成し、ロシア産ガスの調達価格交渉で立場が弱くなりつつあるためだ。ロシアはそれまで、欧州へのガス輸出をウクライナ経由のパイプラインに100%依存していた。
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