ロシア政府は26日、インフラ・プロジェクト3件に総額4,500億ルーブル(105億ユーロ)を支出する方針を明らかにした。モスクワの恒常的な交通渋滞を緩和するとともに、経済成長の鍵となる輸送インフラの整備を進める。プロジェクト総額は政府支出額の2倍以上になる見通しで、プーチン大統領は残りを民間投資家やロシア国鉄(RZD)の出資でまかなう考えだ。
\具体的には(1)シベリア鉄道モスクワ~カザン間800キロメートルの高速鉄道化(2)シベリア鉄道とバイカル・アムール鉄道(BAM)の近代化(3)新たなモスクワ環状高速道路の整備――が対象となる。
\(1)はエカテリンブルグまでの高速化計画の第1弾で、現在11時間半かかっている所要時間を3分の1に短縮する。
\カザンは国内最大のイスラム都市として観光客が増えているばかりでなく、重要な経済特別区や技術センターを擁する経済立地としても注目を集めつつある。政府としても交通の便の改善で発展を後押ししたいところだ。
\なお、同計画を優先するため、モスクワ~サンクト・ペテルブルグ間の鉄道近代化は一旦凍結される。
\(2)は極東・太平洋地域への輸送能力強化が狙いだ。プーチン大統領によれば過去5年で太平洋沿岸港へ向けた貨物量は55%拡大し、年間1億1,000万トンに上っている。一方でシベリア鉄道の輸送能力は1億2,000万トンが限界で、現在の時点でも東シベリア・極東の経済活動に支障が出ているという。鉄道インフラの強化でこの問題を解決する意向だ。
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