ブルガリア電力規制当局(DKVER)は7月30日、一般世帯向け電力料金を1日から平均5%引き下げると発表した。電力の値下げは今年に入って2度目。5月に発足したオレシャルスキ中道左派政権は、料金引き下げで、国民の辞任要求運動の広がりを食い止めたい狙いだ。一方で電力会社側は経営環境の悪化に抗議している。
\チェコ系のCEZは4.54%、同じくチェコ系のエネルゴプロは4.75%、オーストリア系のEVNは4.21%、ズラトニ・ピャサツィは5.63%、値下げを余儀なくされる。その他の電力料金もほぼ同じ規模で引き下げられる。
\欧州連合(EU)の中でも貧しいことで知られるブルガリアでは賃金が伸び悩む中で生活費が急速に上昇し、収入の大部分が電力料金で消えてしまうようになった。これを機に国民の抗議運動が広がり、2月にはボリソフ前内閣が辞職、DKVERは3月に平均7%の電力料金引き下げを発表した。
\今回の値下げを含めて、その負担は電力会社が担うことになる。EVNはブルガリア市場からの撤退は考えていないとしているが、料金をめぐる問題ではすでに6月、世界銀行傘下の国際投資紛争解決センター(ICSID)に投資保護に向けた調停申請を行った。その時点の発表によると訴訟額は5,100万ユーロを超える。主な問題となっているのは、再生可能エネルギー業者に対する助成金だ。EVNはその分を立て替えてきたが、国による補償がなされていないとしている。
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