2013/8/21

CIS諸国

ロシアがウクライナからの輸入を妨害、国境検査を厳格化

この記事の要約

ウクライナの雇用者団体によると、ロシアが14日以来、ウクライナからの輸入を妨害する施策をとり始めた。過去数週間に導入された、チョコレートやチーズなど特定の品目を対象にした検査強化が全品目に適用された形だ。ウクライナ由来の […]

ウクライナの雇用者団体によると、ロシアが14日以来、ウクライナからの輸入を妨害する施策をとり始めた。過去数週間に導入された、チョコレートやチーズなど特定の品目を対象にした検査強化が全品目に適用された形だ。ウクライナ由来の品物はすべて危険物扱いとなり、国境での手続きが長引いている。同団体ではロシアの措置が商品劣化、価格上昇を招き、年末までに損害額が19億ユーロ相当に上ると予測している。

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ロシア政府は検査厳格化の事実を認めたものの、税関レベルの決定であり、政府が指示したものではないと説明している。

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ロシアによるウクライナ製品輸入の妨害がウクライナ経済に与える影響は深刻だ。ウクライナはそれでなくても経済が停滞しており、今年の成長率は0.1%にとどまる見通しだ。政府が消費者に対するガス料金を助成しているため、高いガス輸入価格が財政を大きく圧迫している。さらに、外貨準備高は減少し続け、汚職で外国からの直接投資も縮小している。

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ロシアとウクライナの外交関係は緊迫感が高まっている。ウクライナが欧州連合(EU)と、加盟の前段階となる連合協定や自由貿易協定を提携する方針のためだ。

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これに対して、ロシアはカザフスタンとベラルーシで作る関税同盟に加盟させ、「ユーラシア同盟」構想を前進させたい考え。しかし、ウクライナは加盟を断り続けている。

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ウクライナの野党代表らは以前から、対ロ輸出の困難化が関税同盟への加盟をめぐる意見の相違から生じたものと捉えてきた。今回の国境検査の厳格化を受けて、アザロフ首相も慎重な表現ながら、同じ見方を表明した。

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エネルギー問題でも両国の亀裂は深まっている。ウクライナはガスプロムの主要顧客で、ロシアへのエネルギー依存の高さから高額でのガス調達を余儀なくされてきた。このため、最近ではポーランドとハンガリーを経由したガス輸入を増やすなど、他の調達の可能性を探っている。その影響でガスプロムの対ウクライナ輸出が減少しつつある。

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