オーストリア大手銀行のエルステ銀行が19日発表した調査結果によると、中東欧金融業界はユーロ圏および中東欧の経済回復を背景に、来年以降は利益拡大が見込めるもようだ。ポーランドやチェコは堅調に回復。ルーマニアは底打ちが近づいている。一方でトルコは融資の急速拡大が予想される。
\エルステは、ポーランドやチェコで来年以降、「貸し倒れ引当金の減少や貸出残高の増加、利ざや拡大、コスト管理で利益拡大が可能」とみる。
\特に貸出残高が預入総額の75%と低いチェコでは今年、は貸出残高が3.5~4%拡大する見通しだ。預入額も4.8%の急増が見込まれる。一方、不良債権率は6%と比較的低い。
\ポーランドは7月時点の貸出残高の年間成長率が個人向けで3.3%、法人向けで0.5%となった。特に投資資金の融資が伸び始めている。今年12月には貸出高の年間伸び率が5.8%に上ると予想される。
\ハンガリーでは貸出残高の減少ペースが緩み、改善の兆しが見えている。上半期の減少率は6%だったが、通期では2.5%にとどまる見通しだ。来年は1%、再来年は3%の増加が見込まれる。
\不良債権の増加も減速したが、貸出高に占める比率は18%と依然として高い。
\ルーマニアは不良債権比率が昨年末の18%からこれまでに21%弱まで膨らんでいる。消費者金融の貸出残高は前年比で8.9%、法人向けも2.7%、それぞれ縮小した。預入額は年初に比べて1.6%増加している。
\トルコは銀行貸出残高が国内総生産(GDP)の65%に過ぎず、今後も人口と所得の増加が見込まれるため、融資拡大の余地は大きい。今年の貸出残高の伸びは27%弱にも上る見通しだ。今後数年は年間15~20%の成長も十分にあり得るという。
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