2013/11/6

総合・マクロ

ロシアとウクライナがまたも対立、天然ガス未払いで

この記事の要約

天然ガス料金の支払いをめぐるロシアとウクライナの対立が再燃している。ガスプロムは10月29日、ウクライナが8月供給分の8億8,200万米ドル(6億3,900万ユーロ)をまだ払っていないと発表。契約に基づき、料金の先払いを […]

天然ガス料金の支払いをめぐるロシアとウクライナの対立が再燃している。ガスプロムは10月29日、ウクライナが8月供給分の8億8,200万米ドル(6億3,900万ユーロ)をまだ払っていないと発表。契約に基づき、料金の先払いを求める可能性をにおわせた。11月末に欧州連合(EU)との連合協定締結を予定するウクライナに対し、政治的圧力を高める政府の狙いが背景にあるとみられている。

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ガスプロムのミレル社長は、ウクライナ側に便宜を図ったにも拘わらず、支払いが遅延している事実を憂慮していると話した。8月料金の支払期限を10月1日に延長したほか、欧州向け天然ガスの輸送料金を2015年1月分まで前倒しで払い、ウクライナが冬に向けて十分備蓄できるよう、5億米ドルの値下げにも応じたとしている。

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また、契約によれば、料金滞納時には先払い制への移行が可能になると述べた。これが実行に移されれば、ウクライナが厳しい情勢に追い込まれるのは間違いない。ロシアによる供給ストップであらたな「ガス戦争」が起こると懸念するアナリストもいる。

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EUとの連合協定との関連性についてプーチン大統領は、ガス取引は「政治的問題ではない」として否定している。しかし、ロシア自身はウクライナに対し、自らの主導する関税同盟への加盟と引き換えに、天然ガス価格の値引きを提案するなど、これまでに政治的案件とからめた働きかけを行っている。

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ロシアとウクライナは天然ガス料金の支払いをめぐって対立を繰り返している。2006年と09年にはロシアがウクライナへの供給をストップする事態に発展。ウクライナを経由してロシア産ガスを輸入する欧州にも少なからず影響が出た経緯がある。

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ウクライナはロシア以外のエネルギー調達先開拓を目指しているが、現在でもロシアの天然ガスなしには生活も経済も成り立たない状況に変わりはない。

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一方のロシアもウクライナを迂回する天然ガスの輸出ルートを整備中。すでにバルト海のノルド・ストリームが稼動しているほか、黒海を経由するサウス・ストリームも着工済みだ。それでも欧州向け輸出の半分をウクライナ・ルートに頼っている。

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