国際通貨基金(IMF)は10月28日に発表した対スロベニア年次協議(第4条協議)報告書の中で、同国が深刻なリセッションに陥っていると指摘。景気後退から脱却し、財政の健全性を取り戻すためには、銀行部門の再建が急務であるとの見方を示した。
\IMFは、「スロベニアは、企業と銀行の財務状況が悪化して内需が減少し、財政再建が必要になるという悪循環の結果、深刻なリセッションに直面している」とした上で、「こうした悪循環を断ち切るために国内銀行の資本増強が喫緊の優先事項だ」と述べた。
\国営の最大手3行を含むスロベニアの銀行セクターは79億ユーロもの不良債権を抱えており、政府は国際支援を要請するかどうかの判断を迫られている。IMFスロベニア訪問団のスピリムバーゴ代表は記者会見で、「銀行の資本増強は同国が直ちに対処しなくてはならない喫緊の課題だ」と語った。会見に同席したスロベニア中銀のヤズベツ総裁は、銀行の資本増強が年内に実施されるか、来年に持ち越されるかは不明であると述べたうえで、11月末に完了する外部ストレステストの結果を待って、資本増強に関する決定を下す方針を明らかにした。
\政府は銀行の資本増強のために12億ユーロの資金を確保しているが、専門家の間ではこれをはるかに上回る資金が必要だとの見方が有力だ。ピリムバーゴ代表は、スロベニア当局は金融危機を自力で解決することを決意し、問題解決に向けて「力強い行動」をとっていると述べた。ヤズベツ総裁はスロベニアが国際支援を回避できると「確信している」と語った。
\2007年にユーロを導入した同国は、輸出に依存する経済構造のため世界金融危機で大きな打撃を受けた。2012年以降は予算削減で内需が落ち込み、輸出が引き続き低調なことから、リセッションに陥っている。政府は増税や歳出削減、国営通信企業テレコムスロベニアなどの民営化によって国際支援を回避する努力を続けている。
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