チェコでこのほど実施された第4世代高速通信向け周波数帯の事業免許入札は、既存3企業が総額85億3,000万コルナ(3億1,500万ユーロ)で全周波数帯を落札した。政府は新規参入を促すため、新規参入企業を優先して周波数を割り当てる方式をとったが、企業側が最終応札段階で辞退した。
\入札対象となったのは800、1,800、2,600メガヘルツの周波数帯だ。戦略上重要な800メガヘルツ帯は、Tモバイルとテレフォニカがそれぞれ2帯域、ボーダフォンが1帯域を獲得した。他の周波数を含めた落札額は、Tモバイルが26億1,400万コルナ、テレフォニカが28億200万コルナ、ボーダフォンが31億1,300万コルナとなる。
\免許条件に基づき、これら3社は低人口地域も含めて国内の大部分で30カ月以内にLTE(ロング・ターム・エボリューション)通信網を構築しなければならない。チェコ通信局(CTU)のノヴァク長官はこれについて、落札企業がすでにLTE規格の導入準備を進めていることを指摘し、1年以内にも実現するとの見通しを示した。
\ \■新規参入の難しさ
\ \新規参入が実現しなかったことについて専門家は、市場環境の難しさを反映したものとみる。IDCプラハの通信市場アナリストであるヴォジシェク氏は、市場規模がチェコと同じくらいの他の欧州諸国でも、市場再編で通信網運営事業者数が4社から3社に減る傾向にあると指摘。チェコ実業家ケルナー氏の投資会社PPFが自ら起業するのではなく、テレフォニカのチェコ事業を買収する戦略に転換したことや、ドイツテレコムがGTSセントラルーヨーロッパを買収したことを例に挙げた。
\未参入企業としては、レボリューション・モバイル(旧PPFモバイル)とサズカ・テレコミュニケーションズ(旧Tasciane)が免許取得を狙っていた。サズカはボーダフォンと提携する予定だ。
\(1CZK=5.03JPY)
\