ロシアでは送配電インフラの近代化が急務となっている。同国の送配電網の3分の2は1990年以前に設置されたもので老朽化が進んでおり、送電損失率は11%に達している。政府は、「エネルギー効率向上とエネルギー部門発展のための国家計画」のなかで、損失率を3.5%にまで改善することを目標として掲げている。
\送配電公社ロシア・グリッド(ロスセチ)は、2017年までに1,610億ルーブルを送配電網の近代化に投資する計画を表明している。また、6月にはドイツエネルギー庁と協定を結び、送配電効率の向上に向け助言を受けることになった。ドイツエネルギー庁のコーラー長官は、配電・中圧電線ネットワークでの損失が最も大きいと指摘。原因として設備の老朽化のほか、盗電が横行していることが挙げている。
\ロシアのように国土が広大な国では、電力の安定供給には地域電力系統間の連携が不可欠となる。現在進められているのは、シベリアと中央部を結ぶ巨大な「エネルギーブリッジ」構想で、3,500キロにおよぶ送電線を建設するというもの。シベリアにはオビ、レナ、エニセイなど大河川での水力発電が盛んであり、石油ガスも豊富に埋蔵されている。エネルギーブリッジは17年までに計画を策定し、22年の完成を目指す。投資額は11億8,000万ルーブルを見込んでいる。(1RUB=3.08JPY)
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