2013/11/27

コーヒーブレイク

国語教育にもっと力を~ロシア

この記事の要約

ロシア文豪の子孫や文学者、出版関係者500人余りを集めて21日に開かれた第1回ロシア文学会議で、プーチン大統領は「国語能力」強化に向けた学校教育の改革の必要性を訴えた。\ ロシア人の平均読書時間は年々減る傾向にあり、今や […]

ロシア文豪の子孫や文学者、出版関係者500人余りを集めて21日に開かれた第1回ロシア文学会議で、プーチン大統領は「国語能力」強化に向けた学校教育の改革の必要性を訴えた。

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ロシア人の平均読書時間は年々減る傾向にあり、今や1日9分と「読書の国」の面影もない、とプーチン大統領。自分の考えを表現するのに四苦八苦するほど、若い人の文章力が落ちていると嘆いた。これを解決するには高等教育を中心に、ロシア語・ロシア文学の教育のあり方を見直さなければならないとし、単に授業時間数を増やすのではなく、「ロシア語の豊かさを心で掴み取ろう」という生徒の意欲を高める教師の人格と能力が求められると語った。

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しかし、その真意については、文学の大切さを説く「文化人」プーチンをアピールしたいだけではと指摘する声もある。ここ数年の「教育改革」では、教授の解雇や研究所の合併・閉鎖が行われており、学問を重視しているとは思えないというのだ。

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そもそも今回の文学会議の開催も、トルストイ、ドストエフスキー、プーシキンといった大御所の子孫が組織委員会に名を連ねたものの、その中心になったのは文化省だ。ソ連時代の作家連盟を模して、文学・出版分野への政治的影響力を示したい政府の意向があると疑われても無理ないかもしれない。

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ところで、会議の前日にプーチン大統領が出席すると分かったとたん、ボリス・アクーニンやドミトリー・ブイコフなど多くの作家がボイコットを決めた。会議中も政治犯の存在をめぐって一時会場が騒然とすることもあったようだ。「言論の自由」に敏感な文芸関係者を相手にしたのが裏目に出たと言えないだろうか。

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