2014/1/22

総合・マクロ

中東欧、企業向け融資が融資回復をけん引へ=ウニクレディト墺子会社

この記事の要約

伊ウニクレディト傘下のウニクレディト・バンク・オーストリアは14日に発表した中東欧の銀行セクターに関する報告書『CEEバンキングスタディー 2014』で、中東欧地域は西欧への輸出回復に伴い景気後退から脱却し、企業向け融資 […]

伊ウニクレディト傘下のウニクレディト・バンク・オーストリアは14日に発表した中東欧の銀行セクターに関する報告書『CEEバンキングスタディー 2014』で、中東欧地域は西欧への輸出回復に伴い景気後退から脱却し、企業向け融資が融資の伸びを後押しするとの見方を示した。

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報告書は、中東欧13カ国(ルーマニア、ウクライナ、ロシア、ブルガリア、セルビア、クロアチア、ハンガリー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、スロバキア、トルコ、ポーランド、チェコ、スロベニア)の平均実質成長率は2014年に2.0%、15年に2.5%と、西欧の1.5%、1.8%を上回ると予測。昨年中ごろから始まった鉱工業生産の回復を背景に、融資は緩やかに回復する兆しが見られるとし、今年も引き続き回復基調が続くとの見通しを示した。潜在的なリスクとしては資産の質の動向に関する不確実性と規制の混乱をあげる一方で、中東欧諸国の今年の不良債権比率は徐々に改善することが期待できると指摘。「多くの課題は残るものの、中東欧の銀行セクターは良好な収益性を示し、総資産利益率(ROA)は西欧の銀行セクターの倍に達する」と楽観的な見方を示した。

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ウニクレディト・バンク・オーストリアの調べによると、中東欧地域における融資の伸び率は05~08年までは113%に達したが、08~13年は20%に鈍化。一方、預金の伸び率は05~08年が55%、08~13年は34%だった。預貸率は2013年に102%と世界金融危機のピーク時の114%から改善しており、金融機関の健全性は高まっていると言える。

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なお、ウニクレディトの中東欧事業担当取締役であるパパ氏は14日、ウクライナ子会社ウクルソツバンクについて「売却交渉は行っていない」と述べ、売却する意思はないことを明らかにした。ウクルソツバンクをめぐっては、ギッツォーニ最高経営責任者(CEO)が昨年10月、売却の可能性を示唆していた。パパ氏は、ウクライナ事業が困難な状況にあることを認め、同国の政治状況が安定化することを望んでいると語った。

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