ロシアのガスプロムが主導するガスパイプライン敷設プロジェクト「サウス・ストリーム」は、セルビア区間の着工が遅れる見通しとなっている。セルビア側が今年用意する資金のうち、7,500万ユーロの調達が完了していないのが理由。政府は今月16日の選挙終了を待って問題に対処する姿勢だ。ただ、セルビア区間の総工費は推定19億ユーロに上り、今後の資金調達も容易ではないと予想される。
セルビア政府は当初、資金調達を支援するため、政府保証を実施する予定だった。しかし、昨秋の財政緊縮策でその予算を削ったことで、調達計画が難航している。与党・進歩党(SNS)の勝利が予測される週末の選挙後に、改めて予算を上乗せして解決を図る予定だ。
サウス・ストリームのセルビア区間(全長421キロメートル)の工事は、ガスプロムとセルビアガスが51対49の比率で出資する合弁会社サウス・ストリーム・セルビアが担当している。セルビアガスの以前の発表によると、今年投資が予定される5億5,000万ユーロのうち、(1)3億ユーロをガスプロムが負担(2)1億7,500万ユーロをセルビアガスがガスプロムから借入れ(3)7,500万ユーロをセルビアガスが負担する――計画だ。今回問題となっているのは(3)で、セルビアガスによる調達が成立していない。
(2)の借入れ条件は年利4.25%で、返済開始はパイプラインが開通してからとなる。セルビアはガス輸送料金収入で債務を履行する予定だ。