2014/6/11

総合・マクロ

対東欧FDIが7.5%減少、負債圧縮の波を受け

この記事の要約

ウィーン国際比較経済研究所(WIIW)が5日発表した2013年の対東欧国外直接投資(FDI)は973億ユーロで前年実績を7.5%下回った。世界的な負債圧縮(デレバレッジング)の動きが波及した結果だ。今年は各国の景気加速と […]

ウィーン国際比較経済研究所(WIIW)が5日発表した2013年の対東欧国外直接投資(FDI)は973億ユーロで前年実績を7.5%下回った。世界的な負債圧縮(デレバレッジング)の動きが波及した結果だ。今年は各国の景気加速とウクライナ情勢がポイントとなる。

地域別では、欧州連合(EU)加盟11カ国が65%の大幅減を記録したのに対し、トルコを含む南東欧7カ国は2%、独立国家共同体(CIS)主要5カ国は26%の増加を示した。

EU加盟11カ国で増加したのは、ルーマニア(27.4%増)とブルガリア(2.1%増)の2カ国だけだった。グループ内債務の解消や子会社利益の回収などを通じて多くの資金が国外に移動し、ポーランド(92.6%減)、スロバキア(79.8%減)を始め、9カ国で減少した。一方でポーランドとハンガリーのグリーンフィールド投資は微減、チェコとスロバキアでは増加しており、資金の動きがFDI投資額の低下につながったことがわかる。

ロシアは昨年、51.6%の急増を示したが、ロシアのオフショア企業による迂回投資(ラウンドトリップ)が多いことに注意を払う必要がある。資本流出を差し引いた実質FDIは118億ユーロのマイナスで、ロシア企業が資金を安全な場所に移転した様子がうかがえる。

今年の見通しを占う上で鍵となるのが、EUおよび各国における経済成長の加速と、ウクライナ紛争だ。東欧のEU加盟国の多くがEUの景気回復の恩恵を受けるが、ロシアとの取引が多いブルガリアとバルト三国はウクライナ情勢に足を引っ張られる。

バルト三国とブルガリアを除くEU加盟7カ国ではFDIが増加する。地域全体では216億ユーロに達し、昨年の127億ユーロを7割上回る予想だ。

南東欧は昨年とほぼ同じ127億ユーロの見通し。

ロシアのFDIは今年、300億ユーロと昨年に比べてほぼ半減する見込みだ。CIS主要5カ国でも昨年の720億ユーロから今年は386億ユーロに落ち込む見通しとなっている。