2014/8/6

総合・マクロ

エルステ銀、上期は巨額損失

この記事の要約

オーストリア大手銀行のエルステ銀行は7月31日発表した2014年中間決算で9億2,970万ユーロの純損失を計上し、前年同期の黒字(15億2,530万ユーロ)から赤字に転落した。主力の東欧事業の評価替えによる償却費がかさん […]

オーストリア大手銀行のエルステ銀行は7月31日発表した2014年中間決算で9億2,970万ユーロの純損失を計上し、前年同期の黒字(15億2,530万ユーロ)から赤字に転落した。主力の東欧事業の評価替えによる償却費がかさんだのが主因。通期では、過去最高となる14億~16億ユーロの赤字を見込んでいる。

同行はハンガリーとルーマニアにおける債権の評価替えと、ルーマニア子会社BCRの償却費として、上半期に12億5,000万ユーロの特別費を計上した。

貸し倒れ引当金は前年同期の7億8,430万ユーロから7億9,610万ユーロに膨らんだ。年末までに引当額は当初予定より4割多い24億ユーロに達する見通し。

トライフル頭取は、今年償却を進めることで来年からの事業成長の基盤を整えると狙いを説明。6月末の中核自己資本比率(Tier1)は11.7%に改善し、今年末の時点でも10%を達成できる見通しだとして、経営体質の健全性をアピールした。

エルステは2006年にルーマニア商業銀行(BCR)を4億ユーロ弱で買収した。しかし、BCRは金融危機の影響で事業が低迷。不良債権比率は29.3%にも上る。

ハンガリー事業の問題は政府の銀行政策に起因するところが大きい。先月には外貨建てローンの為替換算に国立銀の公式レートを採用することを義務付ける新法が成立した。結果として、銀行は2004年にさかのぼり、自行の換算レートと国立銀レートの差額を年内に顧客へ弁済しなければならなくなった。

エルステはその費用を最大3億ユーロと見積もっている。ハンガリー金融業界全体では16億ユーロの負担となるもようだ。