2014/8/6

総合・マクロ

ウクライナの景気後退加速、東部情勢を反映し

この記事の要約

ウクライナ政府軍と親ロ武装勢力との衝突が長引く中、ウクライナの景気後退が加速している。国家統計局が7月30日発表した第2四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比4.7%減となり、下げ幅は前期の1.1%から急拡大。6月単月 […]

ウクライナ政府軍と親ロ武装勢力との衝突が長引く中、ウクライナの景気後退が加速している。国家統計局が7月30日発表した第2四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比4.7%減となり、下げ幅は前期の1.1%から急拡大。6月単月のGDPは、親ロシア派が武力行動を開始した4月と比べ2.3%低下した。東部の工業地帯が戦場となっていることが大きく響いており、第3四半期以降も経済の不調が続くとの見方が大勢だ。

6月の鉱工業生産高は前年同月比で5%縮小した。通常、GDPの16%を生み出す東部のルガンスク、ドネツク両州が紛争の舞台となっていることが要因だ。ルガンスク州の鉱工業生産高は20.4%、ドネツク州では13.7%、それぞれ減少した。

インフレ率も急上昇している。消費者物価(CPI)の年間上昇率は1月の0.5%から4月に6.9%、5月に10.9%、6月には12%まで拡大した。通貨フリブナ安が進むと経済への影響も無視できなくなりそうだ。

欧米諸国の対ロシア制裁もウクライナ経済に打撃を与える可能性がある。ロシアは未だにウクライナ輸出高の2割を占める最大の取引先だからだ。

ウクライナ経済は2012年下半期にマイナス成長となって以来、プラスに転じていない。国際通貨基金(IMF)は今年6.5%の縮小を予測しているが、紛争の長期化でさらに低下する可能性が強くなっている。