2014/10/1

ハンガリー

ハンガリー、民放RTLに17.5万ユーロの制裁金

この記事の要約

ハンガリーのメディア監督機関である国家メディア通信庁(NMHH)は24日、独メディア大手ベルテルズマン傘下の民間テレビ局RTLクラブに対して、これまでで最高となる4,000万フォリント弱(17万5,000ユーロ)の制裁金 […]

ハンガリーのメディア監督機関である国家メディア通信庁(NMHH)は24日、独メディア大手ベルテルズマン傘下の民間テレビ局RTLクラブに対して、これまでで最高となる4,000万フォリント弱(17万5,000ユーロ)の制裁金を課した。青少年の薬物乱用をテーマとするリアリティ番組の内容が不正確だったためと説明している。ただ、オルバン政権はメディア法などを通じて報道の自由の制限を強めており、今回の処分も政治的判断が背景にあるとみられている。

問題となった番組では、若い女性が薬物依存に陥っていく状況が描かれている。NMHHは、薬物依存者の描写が「一方的で、この状況をどうとらえるのかという視点がない」と指摘。また、「薬物の売買・乱用への批判」が欠けている点を問題とした。さらに、放映時間が早く、同局の視聴年齢制限も甘すぎたと説明した。

今回の処分の背景には、オルバン政権の「治安強化」政策と、問題を隠して「平和な社会」の幻想を作り上げようとする政治的思惑がある。また、RTLを標的に策定したメディア税法をめぐる、政府とRTLとの対立も要因として見逃せない。

オルバン首相はメディア税の導入目的を「RTLを何らかの形で我が手中に入れる」ためと言明しており、RTLを敵対視していることは明白だ。一方のRTLは同税導入が発表されて以降、与党フィデス関係者の汚職・職権乱用を掘り下げる報道番組を目立って強化した。

メディア税は広告収入に応じた累進課税制となっている。RTLには最高税率の40%が課せられた。RTLは留保付きで納税したものの、欧州連合(EU)に是正の申し立てをしている。