2014/10/22

ハンガリー

米国、ハンガリー政府高官を入国禁止処分に

この記事の要約

米国政府は17日、政府高官を含む複数のハンガリー人に対して入国を禁止すると発表した。汚職関与を理由としているが、詳細は不明。米国が同盟国や欧州連合(EU)加盟国に対してこのような措置を選択するのは最近なかったことで、両国 […]

米国政府は17日、政府高官を含む複数のハンガリー人に対して入国を禁止すると発表した。汚職関与を理由としているが、詳細は不明。米国が同盟国や欧州連合(EU)加盟国に対してこのような措置を選択するのは最近なかったことで、両国の亀裂の大きさを示唆している。

在ハンガリー米国大使館によると、◇過去も含めて汚職に関与◇汚職により間接的に受益――が確実になった「10人未満」の人物が対象となった。誰が対象となったかは個人情報関連法により発表できないと説明している。

今月1日に就任したばかりのペーテル・シーヤールトー新外相は米国に対し、制裁対象者の氏名や理由など「納得できる情報」を公開するよう求めた。ただし、対象者本人には米国から通知済みのため、ハンガリー現地メディアでは、外相はすでに氏名を把握しているはずと報じている。

現地メディアでは、対象者や入国禁止の背景について、さまざまな憶測が飛び交っている。対象者については比較的確実な情報として、ミークロシュ・シェスターク開発相、イルディコー・ヴィダ税・関税庁長官、政府寄り経済研究所サーザドヴェーグのペーテル・ヘイム所長、オルバン首相の私的顧問アールパード・ハボニー氏の名が挙がっている。

また、理由の可能性としては、(1)非民主的・反自由主義的なオルバン政権の政策(2)銀行や外国から支援を受ける非政府組織(NGO)などの団体に対する恣意的な措置(3)米国企業への税務調査――などが指摘されている。ただ、(3)について米大使館は即座に否定した。

2010年のオルバン首相の就任以来、ハンガリーと米国の外交関係は難しいものとなっている。シーヤールトー外相は21日、就任後初めて米国を訪問したが、ケリー国務長官とは対面しなかった。ハンガリー側は、国務省へ会談を申し入れなかったとしているが、ケリー国務長官が初訪米する外国の外相を迎えなかったことは、米国のハンガリーに対する外交的シグナルと受け止められている。

オバマ大統領が先月、ハンガリーをロシアやベネズエラ、エジプトと同列に挙げたことや、クリントン元大統領がオルバン政権を「権力と金」の亡者と手厳しく批判したことも、米国のハンガリーへの態度硬化を示している。