ロシアの景気後退感が増す中、原料メーカーが好調だ。経費の大部分がルーブル建てである一方で、販売収入は米ドル建てのため、利ざやが拡大した。投資家もこれに着目しているもようで、原料大手の株価は今年、大きな上昇を示した。
モスクワ証取に上場するRTS指数採用企業で、今年の株価上昇率が高かった上位10社のうち、原料企業が8社を占める。鉄鋼からニッケル、ダイヤモンドに至るまで、幅広い企業がルーブル安の恩恵を受けている。RTS指数が37%下落したのに反し、アルミ世界最大手ルスアルの株価は昨年11月の最安値からこれまでにほぼ4倍に上昇した。アルミ価格の1割増に加え、欧州需要家向けの短期納入割増料金(欧州プレミアム)が2倍に上昇したのも追い風になっている。
セベルスタリ、ノヴォリペツク・スチールの両鉄鋼会社は第3四半期の営業利益率が過去3年で最高の水準に達した。また、セベルスタリとノリリスク・ニッケルは巨額の中間配当実施でも株価が上昇した。
モーガン・スタンレーでは、金属・鉱業会社がルーブル安にあぐらをかかず、本来の経費削減を進めていることから、株価がさらに上昇する可能性があるとみている。
周知のとおり、石油企業は例外だ。ルーブル安の効果はあるものの、原油価格の下落でその効果が相殺されている。(1RUB=2.25JPY)