2015/2/18

総合・マクロ

ロシア・エジプト首脳会談、経済・軍事提携の強化で一致

この記事の要約

ロシアのプーチン大統領とエジプトのシシ大統領は10日、カイロで会談し、経済・軍事面での協力を強めていくことで合意した。また、エジプト初の原子力発電所をロシアが建設する方向で趣意書を交わした。ロシアはウクライナ問題で、シシ […]

ロシアのプーチン大統領とエジプトのシシ大統領は10日、カイロで会談し、経済・軍事面での協力を強めていくことで合意した。また、エジプト初の原子力発電所をロシアが建設する方向で趣意書を交わした。ロシアはウクライナ問題で、シシ大統領はムスリム同胞団など国内反対派の弾圧で、それぞれ国外からの強い批判にさらされている。このため、両国が手を組むことは米国や欧州をけん制する意味もある。

プーチン大統領によると、両国の貿易高は昨年45億米ドルを超え、前年を80%上回った。交易をさらに増やすため、◇スエズ運河北部に、ロシアなど4カ国でつくるユーラシア経済連合(EEU)との自由貿易区を設置◇同じくスエズ運河北部にロシア経済地区を設置◇両国通貨建てでの貿易を検討――することで合意した。

軍事面では2013年11月以来定期的に行っている両国外務・国防相会議を継続するなど、戦略提携を維持する。ロシア側は内戦に揺れるシリアのタルトゥースに代わる地中海岸の補給・整備拠点を求めている。一方のエジプトは軍事面での米国への依存を弱めたい意向で、米国から調達できない最新鋭兵器の購入先としてもロシアに注目するなど、両国の利害関係が一致する。エジプトはすでに昨年8月、ロシアに30億ドル相当の武器を発注した。

エジプト初の原発は、地中海岸アレキサンドリアの西方240キロメートルに位置するダバーに建設される。ロシア原子力公社(ロスアトム)によると、出力1,200メガワットの原子炉を4基設置する計画だ。エジプトは1970年代から原子力の民生利用に取り組んできたが、資金調達のめどが立たず計画がとん挫。現在に至るまで資金問題は解決していない。