2015/2/18

総合・マクロ

ラトビアの金融セクター、ウクライナ紛争の影響を懸念

この記事の要約

ラトビアのバルティック・インターナショナル銀行(BIB)のヴァレーリ・ベロコン頭取は、ウクライナ紛争の長期化でラトビアと国外の金融センターとの関係が悪化する懸念があるとみている。ラトビアが旧ソ連諸国の金融センターとして機 […]

ラトビアのバルティック・インターナショナル銀行(BIB)のヴァレーリ・ベロコン頭取は、ウクライナ紛争の長期化でラトビアと国外の金融センターとの関係が悪化する懸念があるとみている。ラトビアが旧ソ連諸国の金融センターとして機能してきたことで、ウクライナの混乱がラトビアのリスクとして誤解される恐れがあるからだ。「ベルリンの壁」ならぬ「バルトの壁」が生じ、ラトビアが「壁の向こう側」と認識されるかもしれないという。

ウクライナ内戦をめぐる欧米の対ロシア制裁はラトビアにも影を落としている。米国の制裁対象となったSMP銀行のラトビア子会社は、出資構成と名称を変更した。また、ベロコン頭取によれば、ロシアの資金洗浄に協力したとしてラトビアの銀行の名が挙がっていることも、ラトビアのイメージを悪化させている。

米ドル建て送金業務に必要な米国金融機関との清算(クリアリング)の可能性も小さくなっている。JPモルガンは、資金洗浄防止規則の違反で米国当局に処罰を受けた後、ラトビアの銀行を含む世界500行との取引を停止した。英HSBCも2012年にベルコン頭取の個人口座や在ロンドン・ラトビア大使館の口座を解約したという。

昨年からユーロ圏の一員となったラトビアは、「資金洗浄国」の汚名返上に向けた取り組みを強化した。その部分的な成果はすでにあがっている。米格付け大手のムーディーズは今月13日にラトビア国債の格付けを「Baa1」から「A3」に引き上げた。非居住者との金融取引に関連して、金融監督当局が規制を強化するなど、銀行セクターの安定性が高まったことが理由の一つに挙げられた。

■旧ソ連の金融センター

1991年にソ連から独立して以来、ラトビアの銀行では旧ソ連地域の国民が多くの非居住者口座を開設した。現在、国内口座の半分近くが非居住者のものだ。また、人口約200万人の小国に20の金融機関があり、そのうち13社は非居住者向け業務を主とする小規模銀行となっている。

「マグニツキー事件」として知られるロシア内務省関係者の国税横領疑惑では、ラトビアの銀行が資金洗浄に関わったとみられる。また、非営利団体の組織犯罪汚職摘発プロジェクト(OCCRP)は昨年8月、2年余りの間にロシアの不正資金200億米ドルがラトビアの銀行を経由してモルドバの銀行に送金・「洗浄」された手口を明らかにした。このような例の発覚で、ラトビア金融業界には怪しいイメージがつきまとっている。

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