ハンガリーは10日、ロシア西部にあるタタルスタン共和国で総領事館を開所した。東方諸国との経済関係を強める政策の一環。今月初めには、中国の主導で設置準備が進められているアジア・インフラ投資銀行(AIIB)への参加も表明している。
ウクライナ紛争をめぐる欧州・ロシア間の制裁措置の影響で、ハンガリーの対ロシア輸出高は昨年、前年比で5億1,000万米ドル(15%)減少した。これを補うために、制裁対象外の分野で協力を強化したい意向だ。タタルスタンはロシア取引の足掛かりの一つと位置付けている。
シーヤールトー経済相は9、10の両日にタタルスタン共和国を訪問し、ミンニハノフ大統領と会談したほか、首都カザンで開かれたハンガリー・ロシア経済合同委員会にも出席した。タタルスタン共和国政府とは経済協力協定に調印し、石油部門や自動車機械部品の生産、農業分野での提携に関連して話し合いを持った。また、ハンガリー格安航空ウィズエアーによるブダペスト―カザン線の運航が近く実現する予定だ。
ロシア政府とは、ハンガリー企業のロシア事業に関連して◇石油・ガス最大手MOLによる探鉱・生産事業強化◇製薬大手ゲデオン・リヒターへの支援で協力◇ハンガリー輸出銀行のモスクワ支店設置および中小企業向け融資枠(2億8,900万ドル)の設定――などで合意した。
また、ガスプロムがハンガリーに貯蔵する天然ガスの量を昨年の7億立法メートルから今年中に15億~30億立方メートルに拡大する件で交渉を開始した。