2015/4/22

ロシア

プーチン大統領、従来の立場を反復

この記事の要約

プーチン大統領が観客・視聴者の問いに直接答える毎年恒例の視聴者参加型番組「直通」が16日、生放送された。クリミア半島併合に沸いた昨年とは打って変わり、今年は景気後退に関連する質問が多くを占めた。 ウクライナ紛争については […]

プーチン大統領が観客・視聴者の問いに直接答える毎年恒例の視聴者参加型番組「直通」が16日、生放送された。クリミア半島併合に沸いた昨年とは打って変わり、今年は景気後退に関連する質問が多くを占めた。

ウクライナ紛争については、東部ドネツク、ルハンスクの両「自治共和国」をウクライナ政府が「封鎖」していることを生活環境悪化の原因と指摘。親ロ武装勢力についても「自らの権利を守るために武器を手にして立ち上がった人々」と話し、従来の立場を守った。ただ、表現が以前と比べると穏やかになった。

また、ウクライナ紛争とロシアは関係ないとの立場を繰り返し、ウクライナで戦うロシア兵はいないと言明した。必然的に、欧米による制裁は正当な理由のないものと位置づけられ、米国の対外政策は「他の国を隷属させることが目的」と批判した。

欧米の制裁措置については、「近い将来に解かれることはない」として、この状況をバネに必要な経済改革を推進すべきと話した。

経済情勢については「遅くとも2年後には景気が回復する」との楽観的な見方を繰り返した。クドリン元財務相が「経済改革の遅れで2012~18年の平均成長率が1.5%以下にとどまる」とし、経済政策における失策を批判すると、「経済政策の策定には頭だけでなく『心』も必要」と語り、元財務相の提案する財務緊縮策を退けた。

「直通」はプーチン大統領就任後の2001年の初回以来、ほぼ毎年放送され今回が13回目。毎回、大統領は様々な約束をしてきたが、なかなか守れないでいる。

今回も、野党の選挙出馬を「歓迎する」と話したが、放送当日、政敵のホドルコフスキー氏(元ユコス社長)の慈善団体「開かれたロシア」を警察が家宅捜索していた。

同団体は放送前夜に、過去の約束がどれだけ守られたかを示すビデオを公開しており、これがきっかけになったと推測されている。