2015/8/19

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

仏トタル、ブルガリア黒海鉱区の試掘開始へ

この記事の要約

仏石油大手のトタルは17日、ブルガリア領黒海のハン・アスパルフ(Khan Asparuh)鉱区での試掘準備を進めていることを明らかにした。来年初めの試掘開始を目指す。同社は2012年、オーストリアのOMV、スペインのレプ […]

仏石油大手のトタルは17日、ブルガリア領黒海のハン・アスパルフ(Khan Asparuh)鉱区での試掘準備を進めていることを明らかにした。来年初めの試掘開始を目指す。同社は2012年、オーストリアのOMV、スペインのレプソルと共同で、入札を通じて開発権を取得したが、様々な事情でプロジェクトが遅延していた。

ブルガリアは天然ガス需要の約85%をロシアから輸入しており、国内資源開発でその依存を弱めたい意向だ。ボリソフ首相は15日の時点でハン・アスパルフ鉱区の試掘が近く始まることを明らかにしていたが、その際、「プロジェクト遅延はロシア寄りの前社会党政権の責任」と説明した。ブルガリアへの輸出減に不快感を示すロシアへの配慮があったという。

ただ、ここ半年については、原油安を受けてトタルが計画を遅らせたという事情がある。

ハン・アスパルフ鉱区はブルガリアの黒海沿岸都市ヴァルナから約80キロ沖、ルーマニア領海の近くに位置し、最大1,000億立方メートルの天然ガス埋蔵が推測されている。一方ブルガリアの年間需要は現在40億立方メートル弱で、2025年までに64億立方メートルに増加すると見込まれることから、同鉱区の埋蔵分で今後10数年間の需要をまかなうことが可能だ。

ブルガリアはロシアから年間最高で67億ドル(60億ユーロ)の天然ガス・石油を輸入している。ボリソフ首相は、国内資源開発の進む隣国ルーマニアではエネルギー需要に占めるロシア産天然ガス・石油の比率が10%に縮小していると述べ、その例にならって自給比率を高めるべきだと強調した。