2015/9/2

コーヒーブレイク

ウクライナ映画監督に懲役20年判決~ロシア

この記事の要約

ロシア軍事裁判所は8月25日、ウクライナの映画監督、オレフ・センツォフ氏(39)に「テロ準備罪」で20年の労働懲役刑を科す判決を下した。センツォフ氏は民主化運動家で、昨年3月のロシアによるクリミア併合後にはこれに反対する […]

ロシア軍事裁判所は8月25日、ウクライナの映画監督、オレフ・センツォフ氏(39)に「テロ準備罪」で20年の労働懲役刑を科す判決を下した。センツォフ氏は民主化運動家で、昨年3月のロシアによるクリミア併合後にはこれに反対する活動も行っていた。同年5月、併合反対デモに参加していたところをロシア当局に拘束・逮捕された。

人権保護団体や欧州連合当局、そしてセンツォフ氏自身も、クリミア半島がウクライナ領であるとの立場から、ロシアに司法権はないとし、裁判の無効性を強調している。一方でロシアは、あえてクリミアに関連する裁判を行うことで、同地のロシア編入の正当性をアピールする狙いがあるとみられる。

センツォフ氏は、クリミア半島にあるロシア団体の事務所やレーニン像に放火したほか、武器を売買し、テロ組織を結成したとされる。しかし、立証のカギを握る証人が「拷問でウソの証言を強いられた」として証言を取り下げるなど、根拠は極めて弱い。

それでも有罪となったことについて、「スターリン時代の見せしめ裁判の再来」と批判する専門家も多い。スターリンの差し金で有罪となった人も、後々、判決の誤りが認められて名誉が回復されたが、処刑された人を含めて、人生を棒に振った人も多かった。

センツォフ氏は上訴を予告している。現在のロシアがこれ以上、過去の誤りを繰り返さないことを願いたい。